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懐かしき保健室のベットに腹這いになりながら僕は漫画をたしなんでいた。
思ったより早く起きたために今日は重役出勤ではない。
参謀の予想も外れたね。
だいたい睡眠薬での眠りは強制的だから好かない。
体の疲れはとれるから睡眠薬は手放せなくなってしまったんだけれど。
中毒にならないようにせいぜい気をつけないと。
だいたいこの保健室は僕の家とちがって白くておちつかない。
白は膨張色だから見た目より広く見えるこの矛盾も気に入らない。
矛盾しているのは僕だけで十分だ。
それに白って清楚感をアピールしている感じもね。
こんなの簡単に壊れてしまうのにさ。
僕が好きなのは水色さ。
それに黒。
何にも染まらない、染まれない黒はしっかりとした己を持ってるから好き。
水色は神の子も好きだから。
それに、水色は藍色と同系色だからね。
僕はあの神の子の髪の毛の色がすきだ。
僕にとって神の子は精神安定剤みたいな役割も持っていると思う。
そうそう、さっきそう言えば跡部君から連絡が来てたな……。
携帯のメールを見てみると簡素に成功した、とだけ。
全く男の子のメールは飾り気がないな。
いや、あったらあったらで気持ち悪いかも。
神の子もよっぽどじゃないと使わないからさ。
でもキングが顔文字って……、うん似合わない。
けれど成功してよかった。
これで一安心だな。
心配はしてなかったけれどそれでも万が一があったらの為に策は練ってた。
かなり強行手段で周りに甚大な被害があたかもしれないし。
ん?窓から反対側の校舎の上からシャボン玉がみえる。
あれは詐欺師君のだな。サボってるのか。
神の子のチクろうかな。
あ、でもそれよりはさっさと用事を終わらせよう。
そう思って携帯電話で詐欺師君に電話をかけた。

「僕、今日はもう出勤してるからみんなに伝達お願いできるかな?
 それから保健室からだと君が作ってるシャボン玉がよく見えるよ」
「視力ええな……。まぁ、わかったぜよ」

保健室にやって来たのは。
ブツブツ文句言いながら詐欺師君に引っ張られる紳士君に何故か上機嫌に紳士君を引っ張りながら歩く詐欺師君。
詐欺師君が機嫌がいいのはさぼりを神の子や参謀に咎められなかった事だろうな、おそらく。
それにいつもと変わらずお澄まし顔の参謀に我らがリーダー神の子だ。

「予想が外れたな。
 またデータを取り直さなければならないな。
 おそらく昨日は睡眠薬を使用したんだろう?」
「蓮二のそのデータってむかつくよ。
 なんで恋人じゃない蓮二が斎の行動を見抜くんだよ。
 俺だって斎の行動を把握すんのにかなり苦労したんだけど」
「それは、年の差だろ。当時の精市と今の俺を比べるな。
 霞ヶ丘の行動だ確かに掴みにくいが
 わかってしまえばある程度は簡単に掴める」
「そんなおしゃべりしないでさっさと用件を終わらせて下さいよ。
 私が授業をさぼるなんて……!」
「往生際が悪いの」
「ふふふ、入ってきてそんな面白い会話を聞かせてくれるなんて嬉しい限りだが。
 まずそうだね、嫉妬ありがとう神の子よ。
 大丈夫。
 行動パターンなんていくらでも変えられるからさ。
 そこの詐欺師君みたいに。
 彼だってそうやってデータから逃れてるんだろ?
 それから僕もさっさとその証拠やらを見たいな。
 事によっては昼休みに直ぐに行動に移せるかもしれないのだから。
 時間は無限じゃないんだよ。
 時間はいつだって有限さ。
 そしてこのくだらないおしゃべりをしている間にも刻々と時間は過ぎて行くんだ。
 僕は別に昼休に間に合えばいくらでもおしゃべりに応じるぐらいには寛容な心でありたいとつね日頃から思っているのだけれどさ。
 急いては事を仕損ずるとはいうけれどね。
 それは注釈をつけてただしケースバイケースだと負うべきだと思うよ。
 ケースバイケース!実に便利な言葉だよね!」
「……そのとうりだな。では報告を始めようか。
 これを見てくれ」

おもむろに出したビデオテープ。
普段から持ち歩いてるのかな?
だとしたら面白いな。
さすがストーカーのプロフェッショナル!!

参謀が持って来た証拠。
それは僕の予想を裏切ったもので。
否、可能性はなくはなかった事ではないけれど、ほとんどありえないと踏んだ物であった。
事の真実はいたって簡単。
綺麗な物、者好きの久遠さんは椎名さんと友達になりたいらしい。
けれど高飛車な椎名さんはそれを拒絶したのだ。
でも良くも悪くもけなげな久遠さんはあったくを続けるのだけれどその途中で転ぶ。
わざとじゃなくて、本気で。
それに気づく久遠さんの友人達。
で、椎名さんのせいになって椎名さんはいたぶられる。
その間は久遠さんは必死に止めるが効果なし。

今回、いじめなんて存在していなかったのだ。
正確には椎名さんはされているが事の発端はないのだ。

……ふざけてるのかって感じだよね。
僕が絡んだ事件はたいていふざけた真相がほとんどだったけれどこの手のふざけかたは今までなかった。
あれか?
僕の矛盾包容の力がアップしたとか?
は、ゲームじゃあありえないし。

「気に食わない……」

ガリ、と親指を齧る。
誰もいない保険室。
今頃、みんな真面目に授業を受けている事だろう。

「気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない
 気に食わない気に食わない気に食わない気に食わない気に食わないなぁ……」

でもこれが真相。
僕の仕事は別にいじめの原因探しではなくテニス部の不和を未然に防ぐ事。

「どうしようなく気に食わなくて。
 その事じだいが気に食わないほど気に食わないのだけれどとりあえず、今はこれで納得しておいてあげよっかな。
 じゃあ、とりあえず皇帝を落としにいくか」

ピョンとベットから降りた。


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