21


「やあやあやあ!
 久しぶりだね諸君!」

練習中の氷帝ろレギュラー陣に軽やかに挨拶する。
全員、キング繋がりで顔見知りではある。

「ああ、お前さんか……。またいきなりやな」
「やあ、ミル君。
 今日はキングに用事があってね。
 それに祭にも。
 みんな元気にしているかい?
 もっともミル君の顔を見る限りにおいては大丈夫そうだよね。
 変わらずの変態オーラが健在で良かったよ」
「おい!だれが変態や!」
「ユーシ、だっせぇ」
「お前は黙っとき。今日こそ白黒はっき」
「斎!?」

祭の声でミル君の声をかき消す。
可哀想に。
祭の隣にはキングが。
やっぱり隣にいたか。

「やあ、祭。それにキングよ」
「なんでランがいるんだ、あーん?」

ラン、というのは『不思議世界』、ワンダーランドからだ。
これはキング命名。
一番最初に付けられた異名でもある。
氷帝のみんなはキングに影響されて僕の事はランってたいてい呼ぶ。

「やあ、跡部。元気そうだね」
「幸村……」
「ふふふ、ライバル同士の対面だね。
 にしても祭。
 君の方には何も連絡はなかったのかい?
 なかったか。
 じゃあ、しょうがないか。
 何おちこんでるんだ。
 たとえ戸籍は違うとしてもこの身に流れる血はおんなじなんだからさ!
 さてキング。
 今日はパーティーの招待にきたんだよ。
 日にちは明後日。
 そこで決着をつけたいと思っているんだ。
 父さんの事だからどうせ一筋縄ではいかないどろうけれど」
「じゃないと跡部と斎が結婚なんて笑えない冗談が現実になるから。
 だから俺の事を跡部経由でパーティーに行けるようにしておいてね」
「いきなり現れてそれかよ。
 まったく変わらない奴らだな。
 いいだろう。そのぐらいどうにかしてやるよ」
「話が早くて助かるよ」

器が大きいからね、彼。
そこあたりは素直にすごいと思う。

「私も行っちゃ駄目かな?」

小さい声ながらも言う祭。
祭は僕と違って大人しい。
理由は、まぁ、うん。
でも表情もきちんと変わるし、自己主張もするようになった。
これはやっぱり跡部君の影響だよね。
僕じゃあきっと出来ない事だ。

「勿論!というか渦中の中の一人が不参加でどうするんだ!
 さっきから行っているが遠慮する必要なんてどこにもないんだからさ。
 それにキングとの仲を父さんに見せつけてやろうではないか!
 ふむ、不安だというなら、そうだな。
 父さんが僕たちの関係に驚いた所でも想像してみたらどうだい?」
「それはすっごく趣味の良い遊びだね」
「だろ!?神の子はやっぱりそう言ってくれるんじゃないかって思ってたよ。
 ね、祭。
 始めての双子での合同作業だ、そう言えば。
 ふふふ、楽しみだ、楽しみだ、楽しみだな!楽しみだなぁ!!
 あ、そうだ。今日は僕の家に泊まりに来ないかい?
 久しぶりにたくさん語り明かそうではないか!今夜は寝かせないぞ。
 僕の話もたくさん話してあげる。
 僕はなかなかに面白い話をたくさんあるからね。
 腹筋が崩壊しないように気をつけないといけない。
 覚悟しておきなよ!!
 無論、祭の話もしてよね。
 僕の大切な片割れが氷帝でどんな生活を送っているか気になるから。
 それにお互いの彼氏の惚気もしてみたい。
 恋バナって奴だね!
 僕も一度はやってみたい。
 僕に神の子の事を語らせると凄いぞ!
 ああ、それとキングに不満があったら僕にいいなよ。
 ガツーンと僕が成敗してあげるから」
「それ、本人の目の前で言っちゃだめだよ斎」
「誰が誰を成敗するだって?嘗めた口叩くじゃねえか、ラン」
「おお、怖い怖い。ねぇ、ミル君」
「俺に話をふられても困るわ。
 だいたいランは確信犯なんやから自分でどうにかしぃ」
「冷たいね、もう」

もっとも今の僕は祭に会えた事でハイテンションだからそのぐらいの事では挫けないし、怒ったりはしないよ。
今はすごく寛容になれる気分なんだ。
ああ、今夜が楽しみだ!


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