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正直言ってカメラを仕掛けたが全くと言って成果がない。
僕が来てから二度程、椎名さんは怪我をしていたけれど一回は階段、一回は人気のない廊下だそうで。
カメラの仕掛けていない所なので意味がない。
「ふん。王道どうりにいかないあたり馬鹿ではないのだろうがここまで成果がないと馬鹿馬鹿しいな。
かといって取り外すほうが愚行だろう。
まったく楽しませてくれるよ!
僕をどこまで楽しませてくれるのかな、この事件はさ」
「そう言うなよ、斎。
今日は仁王が面白い物を持って来てくれたんだ」
保健室に集まった神の子、詐欺師、紳士、参謀は僕のいるベットをを取り囲む形で集合していた。
因に今は昼休み。
僕が集合をかけたのではなく彼らが勝手に、いやこう言うと歓迎してないみたいだ。
訂正しよう。
彼らが暇をぬってわざわざ僕の所にきたのだ。
「面白い物かい?そりゃあいい!
僕は楽しい事は大好きだからね。
それに人一倍好奇心と知識欲もある。
さて詐欺師君がこうやって態々全員を集めて来たからにはそれなりに確実な手がかりを手に入れたのだろう?
なになに、僕の渡したボイスレコーダーが役にたったのか。
ふむ、それは良かった。
中島に作らせたかいがあると言うものだ。
ん?ああ。中島は僕の執事だ。
一回会ったはずだよ。
なんだその反応は僕が霞ヶ丘のお嬢様であるのは今更だろう。
ではさっそく聞かせてくれないかな?
どんな面白い事が聞けるか楽しみだ。
君みたいな男が録った物だからさぞかしいい物であろと期待しているよ」
中島に頼んで作らせたボイスレコーダー付きのネクタイピン。
立海の制服にはネクタイピンは使用義務がないとはいえ一応存在する。
使わない人が殆どと言っていいぐらいだけど。
まぁ、だから持ち歩いていても可笑しくない。
何か情報を手に入れた時の為に渡しておいたがなるほど、カメラではなく此方に当たりが着たのか。
詐欺師が再生ボタンを押したのを見て口を閉じた。
せっかくの情報を聞き漏らしては悪いからね。
ざー、と音がした後にダンッ鈍い音が流れてくる。
『何なのよ、もう!』
おお、これは久遠さんの声だ。
冷静な彼女にしては荒れているな。
しかしながら仕方無いのだろう。現状が現状だし。
『何度違うって言っても信じないし。
馬鹿じゃないの!?
ちゃんと目が入ってるわけ!?
……でもまだ我慢、してなきゃね。
いつか真実は明るみになる。その時の反応が楽しみだわ。
そうね、霞ヶ丘とか言ったけ。あのおしゃべりな子。
あの子かね、私の救世主は。
こう言う時に助けが入って悪を懲らしめるのがセオリーだもの。
それで私はハッピーエンドで終わるのよ!
だから、私は大丈夫、大丈夫よ!』
足音。
『……プリ』
「あははははははははははははははははは!!!!!!」
爆笑する声が保健室に響いた。
僕だった。
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