08


保健室で隠しカメラから送られる映像を確認する。
さすが詐欺師。
バッチリと周辺が見える。
カメラを設置した場所は王道な所のみだ。

イジメの真相として僕が立てた仮説としては
一、久遠麗菜が椎名恵をイジメている。
二、椎名恵が久遠麗菜をイジメられるようにしむけている。
他にもある事はあるけどそれを考えるとキリがないので保留。

カメラを見ているうちに面白いものを発見した。
僕は運がいい。
最近、勝利の女神は僕に微笑みかけてくれているようだね。
ひょいとベットから降りて廊下を歩きだす。
途中で先生にあったが無視。
校長は話をきちんと通してたみたいで、何も言ってこなかったけれどもいい顔はしてなかったからね。
普段ならあえて話しかけるなんて事をしていたかもしれないが僕はやりたい事があるから申し訳ないが
そんな時に話しかけるほど人はよくないんだ。

校舎裏に出ると予想どうりの人物が倒れているのを見つけた。
もう一つの嵐。
久遠麗菜さんだ。
近くで見ると気が強そうな感じがする美人さんだね。
高嶺の花だとか言われてそうだな、彼女。
ここまで来たのはいいけれど僕の力では運ぶのはしんどいな。
できなくはないけれど僕は体に負担がかかるような行為はなるべく控えなければいけない。
そこが僕が引きこもりである理由の一つだが決して病弱と言うわけでない。
かと言って運動が得意ではなくあくまで人並みだ。

「そこのお前!何をしている。
 授業中だぞ!!」

あぁ!!
今日はきっと星座占いは一位に違いない。
近くの窓から顔を出して僕に話しかけてくるのは、なんと皇帝じゃないか。
彼とはなるべく早い段階で出会いたかったが
ふふ、こんな所で縁が合うなんて!

「そう言う君こそ、授業中なのになんでそこにいるのかい?」
「俺は先生に言われ人探しをしている」
「そうかい。
 僕は散歩中なんだ。
 おっと、怒らないでくれよ。
 僕は保健室登校児だからそもそも授業には参加していないんだ。
 つい最近までは学校にも来ていなくてね。
 なるべく学校と言う環境になれる為に人がいないこの時間帯を選んで歩きまわっているのだよ。
 そしてそこにいる彼女を見つけたのだ。
 ほら、そこにいる、もうちょっと身を乗り出せば君からも見えるよ。
 見えたかい?
 そいつは重畳。
 彼女を保健室に連れて行ってあげたいのだが僕の力では無理だ。
 君がやってくれないか?
 君なら簡単に運んであげられるだろう。
 もっとも、君が独活の大木ではなければだがその心配もあるまい。
 テニス部副部長にして皇帝の異名を持つ君ならば」

多少の嘘は御愛嬌。
嘘も方便というしね。
皇帝は僕の言葉に頷いて窓からヒラリと外に出る。
おそらく探していた人物も彼女だろう。
彼女と皇帝は同じクラスらしいのでね。
紳士からの情報だ。

「ところで貴様、保健室登校だと言ったがいったい何年生だ」

彼女を横抱き、所謂お姫様抱っこをする皇帝。
美女と野獣とはこんな光景をいうのではないのだろうか。

「僕は三年生だよ。
 君とは同学年と言う事になる。
 三年の何組だったかな。忘れたよ。
 全然使わないものでね。
 それに僕はクラスなんて小さい枠組みには収まらないのさ。
 それにしても皇帝とこんな時に出会えるなんて嬉しいよ。
 皇帝は真面目な人だと僕の愛すべき友人が言ってあたからこんな時間に皇帝と出会えるなんて奇跡に近い物だろう。
 しかし皇帝か。
 皇帝、コウテイ、こうてい。
 ふふ。格好いい異名だ。
 そしてそれにその名前に負けない貫禄を君は持っているんだね。
 素晴らしいネーミングセンスだと思わないかい?
 そうか、思わないか。
 そいつは残念。
 僕としては皇帝と君の異名としてつけた人と是非とも一度会ってみたいものだね。
 ただ、特定するのはさすがの僕でも無理だろう。
 いささか残念な話しだけれどね」


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