01


大ホールに、全員が集まっていた。
ちなみに一番最初に集まった場でもあり、勉強会をしている部屋である。
各自学校ごとにテーブルに座っている。
部長および、マネージャーは一番前。
部長会の後にこの全体会を開くことになった。
つまり、部長会はこの全体会の為の前座であり、下準備であり、要でもあった。

「合宿期間も半ばを過ぎてラストスパートとなったわけだが……」

跡部さんがマイクを持ってこの集まりの目的を話す。
集まった時にこの人が必然的に司会になる、というか気付けばマイクを持っているあたり歪みない。
そして跡部さんの性格を知っているから誰もわざわざ文句を言うわけでもなく。
実際この人はそういうのに長けているわけだし。

「ここで一回、全体で反省会を開く事になった。
 お互いの長所、短所を話し合い残りの合宿を有意義にするため、容赦なく意見を出せ。いいな?
 まず、俺達部長から見て気になった所を一人ずつこの場で言っておこう。
 四天の遠山から。お前は確かにパワーでは一級品だがその反面……」

多角面で評価を受けるという事は、新たな発見を生む。
方針も違う、考えも違う人からの意見というのは耳に入れておいて損はない。
この話し合いは全員が好き勝手に意見を出していくから収集をつかせるのは大変だ。
だからまず小さく部長会およびマネージャーだけで話し合った。
まあ、これは確かに為になる。だが、裏もある。

隣に並ぶ渡瀬先輩のさらに横にいる谷岡さんをチラリとみやる。
唇を噛み締めて、屈辱だと言わんばかりに身体が震えていて。

「そして青学だが……お前達には何もねえ」
「はぁ!?それどういう事っスか!」

血の気が多くて、かつ自分の思った事を言うのに一番躊躇のない桃城君が吠える。
それを跡部さんが笑う。

「あ〜ん?そのままの意味だよ」
「それが意味わかんないですよ」
「なら言い直してやろうか。言う価値がねぇんだよ」

きっぱり言う跡部さんに内心苦笑い。
あーあ、敵を作る言い方をわざわざしちゃって。
でもこの良くも悪くも偽らない所がこの人なんだ、と怒る青学を視界から外した。

「ちょっと、景吾ぉ!みんなはまじめに練習してるのに何でそんな言い方するのお!?」
「だからお前は認識が甘いって言っただろう。お前は鳥か?ならせめて愛嬌のある鳴き声を出して欲せよ」

黙る谷岡さん。
先程より怒りに震えているが傷付いたって顔を作ってるせいで、中途半端になってる。
……そう、先程から怒りに震えていたのは、そのせいなのだ。
先程の部長会でさんざんに言われた。
助け舟はない。
何故なら部長は全員、谷岡さんを遠ざけている人ばかりなのだから。
彼女の認識ならよくやってる。
とか。
頑張ってる。
偉い。
など言われてチヤホヤされる事を想像していたのだろう。
それが甘いというのにね。



戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -