01


真摯な――つまり、純粋で、強過ぎる祈りは、人を歪ませることがある。

私自身、望むとしたら無感情なもの。
できればロボットみたいなものであれば、と幾度思った事か。
それでも私の内にはどうしたって、喜怒哀楽があってどうしようもなく人間である事実は否定できない。
ただこの戒めにも、誓いでもある私自身の生き様はどうしても変えられないから常に願わずにいられなくて。

ただその選択肢の中で常に自殺という言葉はなかった。
自虐的で偽善的な自己犠牲の精神の持ち主でわる私の思考を知っている人なら、意外に思うかもしれない。

「死は、媚薬。甘い果実。救いであり、温もりであり、それでいて零」

では、なぜ、そ自殺をしないのか。
そう、それはただ周りのせいなのだ。
私は何時だって死にたかったし、死ぬべき人間だと思って人生を歩んで来た。

幼少時代は、引き取ってくれた伯父さん達に迷惑だからと自制していた。
成人して、縁を断ち切って一人でひっそりと死のうと。
だがそれを否定させようとした人がいた。
言ってしまえば、それは私の前世の身内の人達。

友人達は確かに大切であったが、それと当時に私に一つの絶望も与えたくれた。
唯一の希望と信じてやまなかった死という選択肢をことごとく奪ってくれたからだ。

現世ではそれは例えば、ハル。例えば、弦兄。例えば、立海のみんな。
それらが私をこの世に留めている事には違いない。

祈るような気持ちで死を願っていた私を彼らが留めているのだ。
私の人生を歪めているのだ。
そして、また、そんな彼らに救われている私もいて。

「だから、私は許さない。許してはいけない」

そう。自ら、関係を恐そうとする人間を。
それを甘受する事を。
許してはいけない。
それは私自身が死を肯定する事になるから。

だから谷岡さん。
悪いけれど、私を私として維持していく為に貴女の花園を壊す。
責められても甘受しよう。ただこれは私の為に。

「戦争を、始めましょう」

この胸の痛み。
たぶん、これを治すには、この道しかないと本能が訴えるから。

なんて、みんなの願いを叶えるための独善的な理由が欲しかった、なんて嗤えるでしょう?

誰にも認められなくてもいい。
誰にも気付かれなくたっていい。
これは私の為だけに。
独りよがりに、勝手に立海のみんなに捧げる舞台なのだから。



戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -