01


渡瀬先輩が復活してまた元の分担量に戻ったのはいい。
谷岡さんが態度が死ぬ程悪いのこの際はどうでもいい。
しかも周囲の目があっても声が聞こえないようなら気にしないあたり凄い。
地味に睨まれ続けられるのも、まぁ、慣れた。
慣れていいのかとか普通に思うけれど。
いいのか。まじで。

氷帝のみんなは無言のうちにぎすぎすしている。
先の件が原因なので申し訳ない限りだ。
そういうと跡部さんあたりは

「何かきっかけがねぇと、誰も動こうとしねぇよ」

とか言って慰めてくれたけれど。
今でさえ悪いのだから動いてもっと悪くするなら。
とか、悪いのを見て見ぬふりをしたくなるとか。
そういう気持ちが働いてしまうのはわかる。
けれどそれじゃ解決しない。
時が解決する?
馬鹿言っているんじゃない。
時間は残酷だ。
もめ事が長時間続いたらやがて忘れて、それで消滅するんだ。
修復なんて望めないのに。
それが解決してくれるのは思いだけだ。
傷付いた心だけだ。

そう。
動かなきゃ、いけない。
誰かが。
なら、私は進み続ける。
いばらの路でも。
血をいくら流そうとも。
その犠牲の先に、望むべきものを掴むために。
誰も傷付かないために。

氷帝の純情組はますますべったり、谷岡さんにくっつくようになった。
けれど、予想外というか。
谷岡さんの信者学校、じゃなくて青学。
その中でも動きがあるなんて。
この学校は変わらないと思ってたぞ、正直。
手塚さんには悪いけれど。
変化する事は難しい。
凄く凄くパワーがいる。

「……何かようですか?乾さん?」

乾さんはメガネをかけ直した。

いや、何か言って下さい。
私が無表情で読めないとか思われてても。
だからと言って類友!とか言って無表情を読めるわけじゃない。
読心と言ってもおおまかな心の機微しかわからないんだぞ、なめるな。
いや、何をだ。




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