01


ばれた。

特に隠してなかったけれど。
でも気がつかないならそのままであって欲しかった。
いつだろう。
毎日夜はハルの部屋で遊んでるから?
それともキスでも見られたのだろうか。
誰かから聞いたの線も捨てきれないな。

「ねぇ!舞ちゃんは私がそうだって知ってるのになんで黙ってたの!?」
「いや、ほら。言いにくかったから」

部活開始のドリンク作りの時に詰めかけられてしまって。
しかも体調不良で渡瀬先輩がいないし、絶好のタイミングってやつか。
手は動かしながら少し困った顔を作る。

「ごめんね?」
「……ない」

あ、なんか嫌な予感。

「許さない!なんであんたみたいな不細工が雅治と付き合ってるわけ!?
 あぁ……そうよね。私に会う前だったもの仕方無いわ。
 雅治は優しいから強くフれないのね。
 だって、私はみんなに愛されるべき存在だもの」

アハハハハと若干狂ったように笑う。
ヤンデレ、とは違うか。
しかし思わず拍手を送りたくなるな。
けど、あれ?
イジメ発生フラグ乱立状態ですか、これ。

「別れるための理由が必要よね。
 私の邪魔をするからいけないのよ?バイバイ舞チャン」

近くにあったドリンクを取って頭からかける谷岡さん。
あー折角作ったのに。作り直しだ。

「キャーーーー!!!」

頭にキーンときた。
いえ、焦ってませんよ?
だって。ほら、このままイジメなんておきる方向に持ってかないから。

「どうした!?」

一番に入ってきたのは青学の桃城君。そして全員がぞろぞろと。

「どうしたの愛里!びしょ濡れだよ!?」

抱きしめる菊丸さん。濡れるの気にしないのだろうか。
険しい顔をしているみんなにちょっとだけ笑いかける。
心配しないで。

「大丈夫?谷岡さん?」

手を差し出すと、いぶかし気に私を見る。

「盛大に転んだね。しかも頭からドリンクがかかるしさ。思わず感動するぐらいだよ」

えっ、と呆気にとられた顔をする谷岡さん。
悪いけどさ。
そんな使い古されたおつむの足りない作戦にひっかかるほど、私はお人好しじゃないからね。



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