01
まぁ……。
なんと言えばいいのだろうか。
何と言うべきなのだろうか。
そんなに言葉のボキャブラリーは少なくないはず。
なんだけれど、な。
ああ、今日の晩ご飯何つくろっかなー。
と、まぁ。
現実逃避をしてみたり。
一度息を吐いて、吸って。
もう一度目を開いた。
「愛里!!」
「なぁに、桃ちゃん」
「桃城!用事もないのに愛里を呼ぶな迷惑だろ」
「えー、そんな事ないよぉ」
「ちょっと、そこ!!
抜け駆けは許さないにゃ」
「ふふ、英二。何やってるのかな?」
「もう、みんな練習しなきゃ駄目だぞ!」
あぁ、見事だ。
見事な逆ハーっぷり。
いっそ清々しい。
というか、駄目だぞって……。
私は突っ込み属性ではないのでいちいち声に出して突っ込みは入れないけれど。
色々と言いたいから、これ。
「……あの、手塚さん」
「真田舞か」
まともな彼に話しかけてみたけれど何故フルネーム。
あれか弦兄と混ざらないようにか。
確かに手塚さんに名前呼びだけされてもな。
「練習メニュー、作ったんですけれど」
ちらりと戯れる彼らをみた。
いります?と聞いたらすまないと言われた。
疲れてますね、はい。
ていうか眉間に皺が凄いなー。
心労が半端なさそうだ。
胃薬でも用意しようかな?
「見ててよ!菊丸ビーム!!」
「わぁー!相変わらず凄いね!」
「へへーんだ」
……威力落ちたな。
悪影響しか及ぼしてないような気がする。
いいのかなぁ、谷岡さん。それで。
こういうのってパターン化してるから衰退していくものかと思ってた。
こういうって無くならないんだね。
「あの、手塚さん。練習、立海の方に来ます?」
「何を言っている?」
「彼らの側でまともな練習ができないでしょうし」
「だが」
「あんな状況になって未だに仲間だから、とか言うんですか?
今の彼らが、かつて共に戦って来た彼らだと認めるんですか?
手塚さんがそういうなら、別にいいですけれど」
「…………」
「手塚さんが抜ける事によって何か変わるかもしれませんしね。
それに弦兄のライバルが弱体化するのを見ているのもなんだか忍びないです」
あくまで、自分達の為だって言ってみたり。
するとすまない、そうしてくれないかと言う手塚さんに了承の意を込めて頷いた。
で、行こうとした所で。
「舞ちゃんに、国光、どうしたのぉ?」
谷岡さんが近づいてきた。
手塚さんの眉間の皺が増えた。
嫌われてるの、気づこうよ。
「これから立海に行くと所だよ。
まぁ、色々あって手塚さんも一緒に行くか」
「じゃあ、私も行く!」
代わりに彼らのサポートやってねって言おうと思ったのに
先をこされた。
こんな事だけ素早いな。
君はとりあえず周りのブーイングを処理してあげたらどうだろうか。
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