03


「はい、みなさん長い期間おつかれさまでしたー、ドンドン、パフパフ」

私の棒読みでなんとも残念感が漂う感じでお疲れ様会を最終日の夜に開かれた。
あのまま剣呑な空気だったら絶対にできなかった事なので助かった。
ご褒美は考えないとね。

「舞ちゃん、なんで自分がその役目をやったん……?」
「私だって渡瀬先輩にお願いしたんですよ。けど」
「恥ずかしいから……」
「で、目立ちたがりの谷岡さんにお願いしたら」
「嫌がらせ半分で」
「という事でおしつけられましたー」

てへーと愛想無く言ってみる。
谷岡さんもいい性格してるよ。
私はこっちの方が好きかな。いや、マゾではないが決して。

「まあ、たくさん食べて下さいな。色々作ったので」

実はの話、谷岡さん料理できた。できるんだ!
ああ、一人ぐらしだもんね。トリップしてきたから。
できないではなく手荒れするから嫌だっただけらしい。
買わないのかと聞いたら貢ぎ物のおかげで市販が不味くて堪え難かったらしい。
なんという魔性の女。

たくさん食べてねーとは言ったものの、やはりスポーツ選手なのでバランスは考えて欲しいので。

「はい、野菜」

バランスが偏ってる人のお皿にはバンバン食べ物を乗っけてまわる。

「舞」

とハルが野菜を箸に持ってこちらにむけてくる。

「あーん」
「はいはい、あーん」

と口を開けるわけでもなく腕を掴んでハルの口に持っていく。

「舞、逆じゃ逆」
「ほら、あーーーん?」

ちょっと凄んでみせる。
弦兄仕込みというか真田家の凄みはすごいよ!
血筋だからね。
威圧感が出る、らしい。
渋々食べるハルに後方で吹き出す音が聞こえた。

「舞って本当に仁王の扱い慣れてるよね。見てるこっちが恥ずかしいや。この熟年夫婦め。
 爆発すればいいのに」
「さり気なく恐ろしい事言わないでくれませんか、精市先輩。貴方がいうとシャレですまなさそうです」

可愛く小首を傾げても駄目なものは駄目だ。
五感を奪える時点で貴方はチートなんですよ。




戻る
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -