03


side 桃城

釈然としない気分で、越前にちょっかいを出しながら部屋に帰ろうとした時の事だ。
放送で再び招集をかけられたのは。
解散したばかりで、かつあのような内容だったのだ。
サボってしまいたい衝動を押さえつけ、十分ほど前と同じ光景ができあがっていた。
ただ、立海の連中が顔が険しく、真田の妹というマネージャーと仁王さんがいない事。
それから、愛里が、真っ青な顔をしていた事が違かったが。
何があったのかと思っているうちに、事の事態を幸村さんが説明して動揺が一気に走った。

「愛里がそんな事するわけねぇだろ!」

マムシが勢いよく立ち上がる。椅子が倒れた。

「仲間を信じたい気持ちはわかるけれど、残念ながらこれは事実だ」
「お前らが愛里が気に入らないからって嘘をついてるんじゃねえか!?」
「海堂!」

咎める声に海堂はますます激昂した。

「まあ、落ち着けってマムシ。ほら愛里はまだ何も言ってないじゃねーか。
 なあ愛里。そんな事してねーよな?」

そうだ。愛里が違うと言ってくれれば俺は、俺達は愛里を信じてやれる。
だから、ほら。
早く違う、立海の連中の勘違いだ。見間違いだと言ってくれ。

「わた、し、は……」

それなのに愛里は青ざめたままだ。
まるで立海の連中の言葉を肯定しているかのようで。

「悪いけど、馬乗りしてる所を俺達でみたんだ。彼女は言い訳も何もできないよ」
「そういうふうに仕向けただけじゃないのか」
「仲間を信じるのは美徳ですが、悪い所を怒れないなら馴れ合いにすぎません」

ぴしゃりと言う柳生さんに海堂が唸る。

「私は間違ってないわ!」

急に愛里が避けんだ。
唇をわなわなと震わせ、依然、顔を青ざめさせたまま。

「みんな騙されてるのよ、あいつに!黙っていい顔してるだけで、当然のようにみんなの側にいるのよ!」
「なら証拠をみせろよぃ」
「そ、それは……。真鈴先輩!」
「は、はい!?」

急に呼ばれた渡瀬さんが肩を揺らした。
事なかれ主義というか、争い事が苦手な渡瀬さんは中立を保っている。
ナイス人選。さすが愛里。

「先輩は気付いてますよね。だって、おかしいですもん。真田舞という存在の歪さに。
 私と先輩が同じように舞ちゃんも同じなんですよ」
「え!?そんなはずが」
「……先輩、知ってますよね?なら、わかるはずです。弦一郎に妹は本来存在し」

「そこから先言ったら怒るよ」

言葉を遮ったのは、噂の人物だった。
首が赤い。
それが何よりの証拠でみんな息を呑む。
真田舞は強い意志を籠った瞳で愛里をただ射抜いていた。



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