02


部長会では、まずそれぞれの学校の印象。
それぞれの部員に言うべき事。
それから……マネージャーの事、だ。
マネは各学校に一人というわけではない。
だから一つの学校にべったりというわけではなく、色々な学校を見て回っている。
それに、サポート側だからこその意見。
サポートされる側の意見というのもあるのだ。
だからマネも入れてもらった。
まあ、建前だ。嘘ではない。

そこで、さんざん叩かれた谷岡さん。
仕事が遅い。押し付けてくる。認識の甘さ。
マネの人数は多くない。
キビキビ働いて欲しいのに、のんきに応援。
無理な所もあるからみんなに手伝ってもらっている部分が出てしまっているのは事実。
とはいえ、だからといってすぐ信者に頼るのはどうよ。
それに私はトレーナーも兼ねているのに私が暇ってどういう事なの。
忙しいに決まってるでしょう。

渡瀬先輩は、お人好しだから何も言わなかったから私が全部言った。
部長達も、色々言っていた。
まあ、勿論、私や渡瀬先輩も色々言われたけれど、ここまでは酷くなかった。

手塚さんにとっての目標は青学の「自覚」
という事で、事実を全体の場で叩き付ける手段が一番てっとり早いと判断してのこの会議だ。
それでも反省しなかったら本当にそこまで。所詮その程度だったという事。
期待は裏切らないでね?青学の人達。

「愛里はちゃんと仕事してるよ!なんでそんな言いがかりするんだにゃ!」
「本当にそう思うか?渡瀬や舞の仕事量を見てんのか?
 お前らが谷岡をどう思おうが勝手だが冷静な判断ができなくなるなんて呆れるぜ」
「どういう意味にゃ!」
「お前達、自分のレベルが下がってる事に気付いてないのかよ、まだ」

午後にやっている総当たり戦とか全敗だしなー。
他の学校の人はこの合宿からだけれど長期いた青学の影響はやっぱり大きいという事。
昔の青学ならみんなと同レベルだからこの結果はあり得ないのだ。

「色ボケして練習をきちんとしないやつはお呼びじゃねぇ。谷岡つれて帰れ」

正論。でも感情に突っ走る彼らには届かないのだろう。
今にも怒鳴りだしそうな人達をまだ穏健な大石さんとか、乾さんとかがなだめているから手が出ないだけで。

「青学だけの話をしているわけじゃない。名指ししなくてもわかるな?」

この場で青学以外の谷岡さん派が大人しいのは全て小春さんの根回しのおかげ。
部長会の間にそれぞれの学校でミーティングを自主的に行ってもらっていたのだ。
当然、この話題をしていたはず。
だからその直後で行われるこの場でその話がでないわけがないのだ。
不快なのは同じだけれどわかっている分、冷静でいられる。
無言になった所で跡部さんはもう言う事はないといわんばかりに座った。
容赦ないなー。
氷帝テニス部の性格を考えると、わからなくもないけれど。

「ここから先は僭越ながら私が話させて頂きます。
 先程の部長会でも話した事ですが、一度、考えて欲しい事があります」

跡部さんはほっとけばいいというスタンスを崩さないのだ。
仲間とはいえ、サボり始めた人に手を貸すつもりはさらさらないのだ。

「谷岡さん。貴女の事で、この合宿内で亀裂が起きているのは、わかってるよね」
「……そんな事、ない、と、思うよ」
「だから認識が甘いって言われるんだよ。それとも願望?どちらでもいいけど。
 でも選手のみなさんは否定、できませんよね?」

全体を見回すが沈黙。
沈黙を肯定。

「では何故、谷岡さんを中心に亀裂が入ってるのか。考えなければいけないといけないと思いません?
 マネはみなさんのサポートをする事が仕事。つまりよりよい環境を提供する必要がある。
 そのマネが場を乱すのはあってはならないですからね」

こんな話し合い。
しないですましたかったというのが本音ではあるのだけれど。



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