04


ううん、まず誰にしようかなぁと思った時に感情的かつ攻撃的に反論する人は面倒だなぁ。
とか。
何かと気を使ってくれてる人にとって大切な人だろうな。
とか。
ぶっちゃけ側にいないと違和感しかないんだよ。
とか。
まあそんな理由で彼だ。

「ほらね。別に彼女の事を好きでいちゃあ駄目だとか言ってるわけじゃないんだよ」

「人っていうのは好き嫌いがあるし。
 自分が嫌いなものを好きな人が好きっていうのはなかなかにして気分が悪いものじゃない?」

「特に、自分が一番って感じだしね、あの人」

「ん?ああ、別に貶してるわけじゃないよ?怒った?ごめんね?」

「とにかくさ。君は彼についていたいんでしょう」

「拒絶されたかもしれないけれどさ。君の一番は彼女なの?」

「いや、別に好きな人が特別になるのはいいんだけれど。それは否定できないからね。
 でもそれぐらいで離れられるぐらいの気持ちで一生ついていくって人って思ってたの?」

「もしそうだったらそれは彼への冒涜でしかないよね。わかるかな。
 その程度の人間だと思ってるって事でしょう。その程度だけれど、ついていってあげるみたいな。
 そんな感じに……っと」

巨体を投げ飛ばすのは大変だ。もう。案外感情的だな。
怒っても仕方無い事は言ってたけれどね。でもそう思われも仕方無い態度だって事だ。

「自分よりずっと体格の悪い女の子に投げ飛ばされると思わなかった?
 でもね。大変ではあるけれど君の力を使ってるだけでだから出来なくはないんだよ。
 ……ね?樺地君?」

地面に大の字になる樺地君を覗き込む。純真無垢。真っ白。全てを飲み込んでしまうかのような。
そんな彼の瞳はハルとはまた違った読みにくさがある。

「谷岡さんを嫌いになれって言ってるわけでもない。
 ただ、跡部さんの側にいる為の資格を君は忘れたの?」

跡部さんが言う事をなんでも従うという理由だけなら樺地君を側に置きはしないだろう。
理由を知っているわけではない。知ろうとも思わない。それは二人の間にあればいいのだから。

「言いたかった事はそれだけ。じゃあね。お休み。ゆっくり休んでね」

……あ、手首痛い。



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