02
何も言わなければ肯定。
呆れた目で見ただけの私も悪いのだが怒りの色を見せた海堂くん。
まぁ、もっとも無表情な私の事だから呆れた目も気付かれないかもしれない。
これだから無表情も困る。
いや、自分自身の事だし、動かしているつもりではあるのだがなかなか難しい。
「テメェのせいで乾先輩が!」
「乾さんが?どうしたの?マネージャーを無視して練習してる?普通じゃない?」
今までのが異常だろう。
「乾先輩は仲間をほっとくような人じゃない」
「それには、おおむね同意するよ」
「……お前達とちがってな」
どうして私はこうも反抗的になるのだろう。
と思った矢先に服を掴まれた。いやぁ、不良に絡まれた事ないからこの姿勢は新鮮だね。
仲間を侮辱されたのはスルーだ。
少し前だったら切れてたけれどなんかこれぐらなら平気になった。
忍耐力あがったな。感謝しな……いいのだろうか?しても。
「やめて!」
と。谷岡さんの登場。随分タイミングがいいな。見張ってたのか?
吹き込んだのかも。
ふむ、すると私のこの危機的でもない状況は嵌められたのだろう。
「薫、喧嘩は駄目だよぉ!舞ちゃんは女の子なんだから!」
「……だって、さ」
完全悪役な台詞だなー。
しぶしぶ放された。ここが立海から見えなくて良かった。
隣は四天だから一部の視線は感じるが。
「愛里、こいつは乾先輩に変な事をふきこんだんだぞ!?」
「え、舞ちゃんがそんな事……」
「じゃぁ、乾先輩の事をどう説明するんだよ」
こっちを見る谷岡さん。
笑ってしまう。聞く気はないくせに。
否定してもきっと自分の良い方に最終的にとるくせに。
とんだ茶番だ。
黙っていると、谷岡さんに叩かれた。
弦兄より全然痛くないし。
思ったより響いた音は周りの注目を集めて。
これが目的だったのかな?
自分の信者を使って私を敵だと認識させる。
なるほど、下手に虐められた認識させるよりマシかもしれない。
私は虐められるのだろうか。別にいいけれど。
「舞」
と、白石さんが駆け寄ってくれた。
立海のみんなは一番遠い場所だから流石に聞こえなかったしても、いずれ知られる。
これで完全に二分割された気がする。
あぁ、面倒くさい。
鬱陶しい。
なんでこんな事になった。
私自身の事でもめ事なんてしたくない。
というか、どうでもいいのだ。
あぁ、目眩がする。
前 次
戻る