04
音をした方を見て見るとやっぱり向日さんと、忍足さん。
ダブルスのサインを誤ったらしく。
忍足さんにボールをぶつけはい喧嘩。
さっきのは片方が取り合わなかったからたいしたものじゃなかったけど。
ハルとヒロ先輩は練習でよくぶつけ合ってたけど。
死角から打って避ける、だから始めのうちはよくね。
喧嘩はした事ない。
ハルのもヒロ先輩も怒るのは苦手だし。
加えリスク前提に考えてるからさ。
「あいつら……!」
喧嘩が本格的になってきたな。
殴り合いになられると困る。
それでみんなはやっぱり傍観するんだろうな。
「あの、本当にいい加減にしてください」
立海だったら即鉄拳制裁行きだ。
向日さんが手を上げたから、慌てて振り上げた手を掴む。
「っ、なんなんだよ!お前はさっきから!!」
それで開いていた手を私へと。
……やれやれ。
向日さんは小柄といえ、男女の差を考えて欲しい。
持っていた手を離して拳を受け止める。
勢いをそのまま利用して向日さんを背負い投げした。
柔道はしていないけど護身術は前世でやった。
思いっきり打ち付けられた向日さんは一瞬絶息して、それから力なく地面に倒れた。
ま、気絶はしてない。
「ちょっと真田!?やり過だろ!」
今まで傍観していた宍戸さんが私に近づいてくる。
怒りの色を見せて。
「今まで傍観していた奴が何を言うんだよ、あーん?」
「でもやり過ぎだろ!」
「嬢ちゃんは自己防衛だったんや。むしろ岳人に非があるんちゃうか?」
剣呑なムード。
彼らの絆にヒビが入る音が聞こえた気がした。
私の、せい?
黙って殴られてれば。
空気が重い。
きもち、わる……。
「舞!!」
ハルの声が遠く、聞こえた。
前 次
戻る