03


谷岡さんに接触しないように、あっても人の目がある所で。
そう注意しながらあっちこっち仕事の為にくるくると走り回る。
渡瀬先輩の熱を出してしまってるし。
全部一人で回すから効率を考えていかないと。
で、歩きながらも手を動かして氷帝のコートを通ろうとしたら。

「おい!どういうことだよ!」

向日さんの怒鳴り声が。
いったいどうした。
しょうがない。
中に入っていったら、向日さんが忍足さんを掴みかかっている。
鳳さんはおろおろしてるし。
他の人を止めようという気配がない。
本当に何があった。

「何をやってるんですか」

仕方なしに間に入る。
向日さんに睨まれたよ酷い。
周りを見渡したらなんだか剣呑なムード。
氷帝にはそんなに手をかけられてないし。
さぼったわけではないけれど付き合いは跡部さんぐらいしかないから。
あまり話をしていないので話の展開が予想できない。

「お前なんだよ。マネがいきなり話に割り込んでくんな」
「そうは言われても練習中に喧嘩をされるのは困ります」
「お前には関係ねぇつってんだろ」
「関係ないです。けど練習しないというのは関係あります。喧嘩なんでどうでもいいので練習して下さい」
「そうそう、嬢ちゃんの言うとうりや」

のんびりとした口調で私の肩に手をおく忍足さん。
あのー、ますます睨まれましたよ。
あとその手は何?
手つきがいやら……いや、気にしないことにしよう。
ハルが常時で忍足さんはエロいとか言ってたし。
信じていいのかとかハルが言える事ではとか思ったけど。
声とかめちゃくちゃエロいのは認める。
向日さんは怒ってるけれど、忍足さんはそうでもない感じだな。

「はい、練習再開して下さい!」

忍足さんの手を払って練習の続きを促す。
渋々というように、練習に戻る。
理性はまだ残ってるようだ。
念の為に喧嘩の原因を聞く為に跡部さんの側に。
樺地さんがいないな。
あぁ、そっか。彼もおちたんだっけ。
あれだよね。純情組が落ちてるみたい。
騙されても気がつかないっていうか。

「跡部さん」
「舞、悪かったな」

静観してたくせに何を言う。

「喧嘩の原因は?」
「谷岡がらみだな」
「でしょうね」
「忍足も一言、多いから悪いんだ」
「それは向日さんが大切だからじゃないんですか」
「あーん?落ちる奴は勝手に落ちさせときゃいんだ」

そんな事言ってるくせに、気にしてる。
跡部さんは本当にくだらなかったら自分の時間が取られるのを嫌がって強制終了させると思う。

「氷帝の方は荒れそうだとは思っていたのですが」
「結構ひしひしと」

ガッ、と嫌な音がした。



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