02


一応小春さんは全国で会ってるし、初対面ではないのだけれど。
ハルの情報網の中の一人でもある。
だから私の性格はある程度は知っている、はず。
けれどたいして親しくはないから。
今の状況があるから。
暫定的にとりあえず疑っている、が正解。
疑う事がないならとりあえず信じるよりはよっぽど好感を持てるよ。
私だって疑う。
とりあえず。
害にならないかどうかは自分で見極めなきゃ。

「どうも、小春さん。柔軟は終わったのですか」
「えぇ、ユウ君とやったわよぉ」
「それはさぞかしくねくねしてそうな図ですね。
 そういえば個人メニューは見ましたか?」
「勿論よ!貴方が作ったんでしょう?凄いわね」
「いえ……仕事ですから。
 他の二人が手伝ってくれているのでトレーナーの方に集中できて助かります」
「うちにはマネをつれてこれなくてごめんなさいね。
 蔵リンとかいるからミーハーばっかりで困っちゃうわ」
「それを見極める目がある分、四天宝寺はいいんじゃないですか?」
「あら。そうじゃない学校ってあるのかしらん」
「さぁ、どうでしょう。
 あまりにも酷くて多少のミーハーが良く映るなんて錯覚かもしれませんね」
「……人の頭の上で変な空気流さないでくれます?」
「あらー、ごめんね、光君」
「気にしなくていいよ」
「気にするわ」

確かに柔軟している上で腹の探り合いをしていればね。
財前君の性格を考えれば鬱陶しいのだろう。
しっかし小春さんはさすがに難しいな。
一日の攻略は無理かも。
それにタイムアップ、だな。

「はい、財前君。終わりね。
 私は立海の方に行くから」

ぽんと背中を叩いて踵をかえす。
財前君用の紙に記入しながら。
青学は立海の後。
立海を飛ばして行くと不自然になるのだ。
書き終えたら立海用のページへ。
各々のデータを書いてある。
今までと違ってずっと付きっきりはできないから。
一回一回を集中して見ないと。
視線をあげて、芥子色のジャージを見る。
さて、入ろうかと思ったら。

「……へ?」

後ろから何やらひっぱられ。
そのまま建物の影に入れられてしまった。
一体なんなのだ。
こんな所で何をしようと。
あれか?谷岡さんか?
脅しとか?
いやいやいやいやいやいやいや。
私、何もしてないけど。
勘違いですよー。
というか何か掴んだとか?
掴まれても困るような事を私は一度も口外にした事ないのにな。
やれやれ、とやっと離れた手の主を見るために振り返った。



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