01
立海というか弦兄が取り決めた合宿の決めごと。
決められた時間、例えば朝食とかの時間に間に合わなければ。
連帯責任で自分を含めた全員が鉄拳制裁を受ける決まりになっている。
時計を見ると七時十分前。
立海のメンバーは弦兄と精市先輩以外はいない。
今頃、必死で赤也を起こしている事だろう。
弦兄は五時起きだから同室と言えども流石に起こしたりはしない。
そのまま日課をこなしてこの食堂に来たらしい。
間に合えばいいのだけど。
私は鉄拳制裁の除外者だけど心配だ。
除外なのは女子だからとかではない。
そんな事で甘やかす弦兄ではない。
むしろ身内には厳しい。
連帯責任なのは同室であったり隣室の人が起こさないのは怠慢だから。
そして私は食事の料理があるので起こす事は不可能。
だから怠慢じゃないと。
ハルがかけあったのだ。
に、ヒロ先輩が加わって。
弦兄の鉄拳制裁は本気で痛かったので、感謝している。
後で二人の好物を作って渡しておいた。
あぁ、残り一分。
足音は聞こえない。
間に合うか?
で、
「間に合ったか!?」
物凄い勢いで駆けてきたみんなが入ってくる。
けれど、残念ながら。
「遅刻だ馬鹿者!」
五秒だけだけど。
弦兄には関係ないよね。
「そこに並べ!」
「まずは赤也からするべきだろう」
ジャッカル先輩に背負われて熟睡している赤也を無情に差し出す蓮二先輩。
成る程。
時間に全員、そろっていればいいわけだし。
考えたな。
けれど最悪な目覚めになりそう。
見頃に熟睡している赤也を見てさらに怒りを増す弦兄。
「起きんかーー!」
バシィ!と叩く音。
「いってーーーーーーー!!!!!」
御愁傷様。
結局全員仲良く手形を頬につけての食事に。
弦兄は精市先輩に渾身の力で殴られていた。
ゴッ、とか音がしたけれど聞かなかった事にする。
というか殴られていく間、他校生がひいてたぞ。
「……大丈夫?」
「最悪じゃ」
端的に答えるのは怒っている証拠。
だろうなー。
食後にデザートでもあげるか。
作り置きしておいた物がある。
夜は時間があるから、暇なのだ。
本当はもっと頃合い見て出そうと思ってたけど。
そう思いながら早々に食べ終えて台所へ。
作ったのはヨーグルトケーキ。
途中でレモン果汁加えて爽やかに。
お菓子はそこまで作らないけどたまにはね。
さて、どう運ぼうかと思案してたら甘い匂いにさそわれてブン太先輩が。
「何してんだって、ケーキ!」
「あ、ちょうどいいので運こぶの手伝ってくださいませんか?」
「まかせろぃ!」
上機嫌でデザートを盆にのせて去っていくブン太先輩。
さすが、甘い物は偉大だ。
特にブン太先輩は。
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