04


呼んだ?とにこにこ笑っている精市先輩だけど怖い。
怖いですって。
不機嫌ですってオーラが。
さっきまでジャッカル先輩で憂さ晴らししてたし。

「この練習試合ですけれど」

見せたのは、無くなってしまった決勝戦の試合。
ブン太先輩達と、精市先輩の。
この合宿でやるべきか、悩んでいた。
精市先輩と、越前君をあてるべきか悩んで。
それでも成長の為にやろうと思っていた。
けれど、今の青学と戦って何か得るものがあるのだろうか。

「どうします?」
「今の彼らと戦ってもな」
「その試合、やってはくれないか」

横やりを入れたのは手塚さん。
隣には弦兄が。
普段ライバルライバルしてるけれど、馬が合ったみたいだ。
かなり仲がよろしい二人である。

「今の現状を知らせるって事ですか?」

落ちてしまったという事実。
それを彼らに味わってもらうと。
本当にこの人って青学好きだね。

「意味ないと俺は思うけどね。
 あんなにおちぶれて負けた事に悔しいとも思わなくなってるのじゃないのかい?」
「わからない。けど」
「手塚の気持ちも汲んでやれ、精市」
「んー。でもなぁ……。
 そこあたりの管理をしてるのは舞だし?」

え、ちょ、マッ!
なんで私にふる!?

「やってはくれないか。頼む」

と。
きっちり九十度に頭を下がれてしまった。
手塚さんに頭を下げられるって。
なんか、すっごく嫌。
ていうか変な感じ。

「頭を上げてください。
 青学を特別扱いをするわけにもいきません。
 けど、総当たり戦をする予定でしたので。
 そこでたまたま、偶然、同じオーダーになっても私は何も言いませんけれど」
「……!す、すまない」

だから頭下げないで欲しいのに。
頭下げられるの苦手なんだよ。手塚さんに限らず。
去って行く手塚さんを見て溜め息。
私の予定ってことごとく覆させられるよな。

「総当たりか。腕がなるな」
「ふふ、舞って相変わらずだね」
「はい?」
「あぁ。相変わらず、優しい」
「優しいって、そんな別に。
 頭下げられたから思わずって感じだよ、弦兄」
「まだ、そんな事言ってる。
 けど今回その優しさが仇にならないといいけれど」

精市先輩の言葉に首をかしげた。
仇って。

「自分を大切にしろって事」
「してますよ」
「まだまだ、足りない」

谷岡さんの事だろうか。
けど、彼女はテニス部の人達に夢中で私には関係ないというか無関心じゃないか。
敵にもみなされてないし。
せいぜい便利な奴レベルじゃないかな。
「キャラ」の妹なわけだし?
私経由で仲良くなれるって画策されてるんだよね。
私の友人だからって無条件で信じる程にみんな甘くないけど。

「だから、そんな所が危ないんだって」
「けど、それが舞だろう、精市」
「あぁ」

そこで意気投合しないで下さい。
しかたない、私は私の仕事をしよう。
何かあったらその時に考えればいいんだから。



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