02
しかしついて行くのに断るたいした理由もなく。
というのか断る前に歩き出してしまったのでしかたなしに立海の所にやって来た。
谷岡さんってなんだか幸せそうだよなー。
「舞」
後ろから、重み。
声と、行為からハルだってわかるけれど谷岡さんが息をのんだのがわかる。
ていうか嫉妬の色がありありと。
ハルもめんどくさの、と小さく舌打ちした。
「手塚はなんの用じゃ。
自分の練習もほっぽいて、マネつれて」
「それについてはあとで説明する。精市先輩は?」
「あそこで赤也、しごいとるよ」
ほら、あそこと指差す先には精市先輩が赤也と試合していた。
試合中か。
ま、いいか。
「手塚さんはそこにいる弦兄とでも試合してきて下さい。
私が言ってたって言えば納得もするでしょうし」
「わかった」
手塚さんが歩いて行くのを確認してから谷岡さんの方を見た。
「所で谷岡さんは、立海のコートに来て何か用事でもあったの?」
「え?あ、えと。ドリンクとか、無くなってないか、確認に。
そう、それで雅治、どう?」
「……足りとる。谷岡さんも、ご苦労様じゃのぉ」
クックと笑って、私から離れて谷岡さんに近づくハル。
あーあー、可哀想に。
どっちがって?
それは言うまでもなく遊ばれている谷岡さんじゃないかな。
「頑張ってる子は好きじゃよ」
好きって言葉に頬を染める谷岡さん。
全く、ハルは。
適当にあしらわれたのも気づかすに戻っていく、大変嬉しそうな谷岡さんを見送る。
「サービス精神旺盛だね、ハル」
「あそこまで単純だとバカバカしいぜよ。
赤也だってもうちょっと考えられるなり」
「失礼だよ……」
「勝手に名前呼び、敬語なし。
全くとんだ奴が紛れ込んできたもんじゃ」
「あまり彼女に期待を寄せさせるのも可哀想だから」
「俺は、舞一筋だしな。ただどのくらいの物か確かめただけぜよ」
「今更?」
「……舞って本当、嫉妬しないよな」
「嫉妬して欲しいの?私に?」
「いんや、じゃがそんな場面も考えたくないなり」
肩を竦めて歩き出すハルの隣にならんだ。
ちょうど試合が終わった精市先輩にわけを説明すると二つ返事で頷いてくれた。
「俺も一度は手塚と対戦してみたいしね。
それに手塚のレベルなら、構わないさ」
と。
因みに原因を知った仲間はなんだか妙に手塚さんに同情的な眼差しを貰っていた。
貰っていたけれど手塚さんは気づかない。
もしかして、この人天然かもしれない。
さて、じゃあ私も仕事をするかね。
それにどうやって谷岡さん信者に手塚さんの事を説明するか考えなければいけない。
まったく、これはマネの仕事じゃないと思う。
しかたないか……。
青学の彼らはどう動くのかな?
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