01
谷岡さんの視線が半端ない。
いったい本当になんなんだ。
「舞ちゃんってぇ…本当に真田君の妹なの?」
「そうだよ」
訝しむような視線。
信じてないようだけれど何を根拠に疑う。
と言うか名前。
いつの間に。
「養子とかじゃなくて?」
「私と弦兄は似てないってよくいわれるけどね。
でも親から言わせれば似てる部分もあるって言ってる」
「へぇ〜。
あ、でも舞ちゃんって真田君みたいにまじめだだもんねー。
憧れちゃうなぁ」
「家風がそうなんだよ。だから意識してなくてもそうなっちゃうの」
お願いだからさ。
仕事してくれ、仕事。
おしゃべりしないでさ。
近くにいる渡瀬先輩も苦笑い。
マネの仕事って真面目にやれば結構大変なのに。
準備とかって大切なのになー。
ちらりと綺麗な手を見て、無理か、一人ごちる。
それに谷岡さんは私が弦兄の妹である事がきにくわないのか。
「ねぇ、舞ちゃんとこの合宿の間で仲良くなりたいなぁ」
「仲良く、ね。まぁ、なるようになるんじゃないのかな」
私としてはミーハーは面白いから嫌いではない。
その嫉妬を私には向けないならという限定がつくもののね。
外から見ているだけの存在であって欲しいと言うか。
「おい」
声と共に現れた跡部さん。
隣で谷岡さんが心なし嬉しそう。
「あれ、跡部先輩、どうしたんですか?」
「あーん?お前じゃねぇ。舞の方だ」
「何ですか?」
「幸村も認めているトレーナーの才能をそのままにしておくのはもったいねぇ。
マネ兼トレーナーとして各校を見て回れ」
「え、仕事量多い……」
「そんぐらい出来るだろ」
「まぁ、出来なくはないですけれど」
「じゃあ、やれ」
まったく、横暴だな。
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