漆黒の喜遊曲


漆黒の喜遊曲

暗い。
幸村に呼出された部屋に入ったが中は真っ暗で何も見えない。
カーテンも閉められて外に光が全く入っていなくて。
音楽室であるここは電気は一旦外にだなければつけれない。
幸村が俺より遅く来るなんて考えられない。
すなわち。
何か理由があるのだろう。

「……幸村」

声を合図にピアノの音がしてきた。
ポン、ポンと単調に音がする。
幾度か、繰り返すときちんとした旋律が紡がれ始めた。
音楽が疎い俺でもよく知ってる子供でも知ってるあの曲。
今度はフルートだ。
元の曲をジャズらしくアレンジしてあってピアノの音とも良くあう。

……。
だんだん意図が読めて来た。
そういえば、今日はそんな日だったか。
本人ですら忘れてたのにこいつらは何時から練習していた今度は弦楽。
バイオリンだ。
主旋律を張っているもののそれはそう、なんというのだろう調、そう調が違う。
それから、今度は金管、トランペットである。
ここまでくると元の曲がわからないぐらいにアレンジされているが。
ふむ、なるほど上手いとは思う。
最後には歌。
ボーイソプラノとバリトンの低い音のはもりがなんとも。

Happy birthday to you,
Happy birthday to you,
Happy birthday, dear niou
Happy birthday to you.

曲が終わると同時に明かりがつけられてクラッカーが破裂する音。

「happy birthday!!仁王!」

テニス部の仲間の声。

「……あんがとさん。にしてもようやるのぉ」
「ふふふ、ほら、ただプレゼントあげるのもつまらないからいっそ盛大にやろうと考えてね」

ニコリとバイオリンを持つ幸村。
フルートは柳でピアノのブン太。
歌は真田と赤也もみたいである。

「次に俺達が誕生日の時は愉しみにしてるぜぃ」
「ピヨ」

面倒くさいけれど。
こんな誕生日も悪くないかもしれない。
のだろう。



おまけ

「…そういや、ジャッカルは?」

「先輩は照明係ですから外にいるんじゃないですかね?」

「楽器も歌も満員だったのでな」

「そうそう。あ、聞いてよ。
 真田ったら西洋の楽器の才能全然ないの!」

「そ、そんは事はない!」

「ある意味、天才的だってぜぃ」

「丸井!!」

「なんで俺に怒るんだよぃ」

「丸井君が余計な一言を加えるからですよ」



「……盛り上がってる所、悪いんだが。
 俺の事、話題に出しておいてそのまま外に放置したままにするなよ!
 いつ入っていいかわかんねーだろ!!」

あわれなり。


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