02
来た。
昨日と同じく下駄箱にちょこんとおいてある。
今回は鮮やかな紅の封筒。
色は、丸井君にふれているからだろうか。
彼の鮮やかな紅はとても栄えて見える。
彼自身も赤が好きと言っていた。
はやる気持ちを抑えて封筒にペーパーナイフで封を切る。
それはまるでプレゼントの包みを開封する時の気持ちに似ている。
昔はサンタを本気で信じていた。
けれど今はその正体を知っている。
知っているからこそ中身が予想できてしまって。
なるほど。
この手紙の言う事は本当だ。
失った物。
それは信じる心なのかもしれない。
手紙の趣旨は未だよくわからない。
「調べたい事」の実験なのだろうか。
ただでさえ、仲良くさせて貰っている人の事。
断るわけはないがいったい、どういう仕掛けなのだろう。
霧をつかむような感覚。
こうでなくてはいけない。
しかし、この封筒。
いつ置かれているのか。
私の登校時間は早い。
開門と同時ではないものの登校している人は少ない。
帰る時はもうこの時期だと空はどっぷりと漆黒に漬かっている。
風紀委員や何やらで帰るのが遅いというのにいったい何時?
帰る時にはなく来た時にはある。
見られないためにはかなり私の行動を知っていなければいけない。
最終下校まで残れるのは委員会か、部活。
その線だろうか。
部活はない。
すると風紀委員の?
考えても、まだ確定できない。
とりあえず後で丸井君の元に行こう。
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