03


求めているのは手紙の主の正体。
まるで推理小説みたいではないか。
推理好きな私にとって興味が向かないわけがない。
それすらも、相手の想うままなのだろう。
しかしそれすらも今の私には愉しみになるスパイスになる。
少し笑って、心を落ち着かせるためにそっとペーパーナイフに触れた。
銀色が人工の光を鈍く反射している。
シンプルな彫刻が施してあるそれはまさに自分の好みの品であった。
これは以前、仁王君に誕生日に貰ったものである。
彼は相変わらずにセンスがいいと思わずにはいられない。
紳士には必要な物だと偏見に基づいた贈り物だけどしっかり愛用させてもらっている。
ペーパーナイフと共に手紙を鞄にしまった。

これだけでは特定はできない。
きっとこれから少しずつヒントが与えられる。
何故なら、手紙の中にある

「彼」

は自分の事をさしているのだから。


とりあえず現状把握をすべきだ。
レポート用紙を取り出す。
一人称で私、を使っているあたり恐らく女性。
男で私を使っている人は自分で使っていながら言うのもどうかと思うけれど少ない。
わざと、と言えなくもないから保留。

一番上に女性?と書く。

近くにいる人。
と言う事は私となんらかの関わりがある人と見てもなんら問題はないと考えられる。
例えば、クラスではなくても同じ学年。
それか委員会。部活、はマネがいないので除外。

次に、同学年か同じ委員会と書き込む。

便箋自体はどこでも売っているような物なのでこれで判別をつけるのは無理がある。

さて、ここからどうなるのだろうか。

次の手紙が来るのを想像して、ひっそり、微笑んだ。

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