09


とりあえず、今の所の情報を整理してみようと思う。

まず、同学年の、女性。
委員会は入っている。
恐らく、風紀、美化、図書員。

おそらく、これには複数人、絡んでいる。
それが何人かはわからないけれど。
フェイクがいくつか混ざっている。
だから情報で絞れという事。

本はたくさん読まれる方だ。

それから、テニス部の誰かとは親しい間柄にある。
でなければ今回の宝探しなんてできないはずだ。
よく彼らの動きを把握していた、今回の話。
テニス部員の誰かと親しいと思えばありえる。
こういうのに乗るような性格で、部員の動きを把握している人。
幸村君、柳君、仁王君。丸井君というのも案外あるだろう。

字を見る限りの憶測だけれど、『差出人』の性格。
決してずぼらな方ではない。
むしろ、落ち着いた、周囲をよく見ている人。
けれど遊び心はある。
先程あげたテニス部員と仲良くなれる気質であるのはよくわかる。
子供は好きだ。
よく関わる機会でもあるのだろうか。

近くにいると言っても、私と親しくはないのだろう。
それならばわざわざこう回りくどい事はしない。

候補をあげるなら
大野さん、が一番始めに上がる。
風紀委員だし、何かにつけて関わってくる。
丸井君のもとに行く時に窓ガラスが割れてしまった時も。
嫌にタイミング良く現れた。

私の行動を知りたいならばどこかで私の行動を見ているはず。

しかし、とも思う。
こんなに解りやすくていいのだろうか。
そう思わせるのが罠で大野さんが本当にそうだという可能性も否めない。

まだ情報は完全ではないのだ。

さりげなく聞いてもきっと答えてくれないだろう。
はっきりと、貴女だ、と。
そう告げなくては。
それにチャンスは一度きり。
きっとミスした事はすぐに伝わる。
慎重にいかなければ。

それで、先程、切原君に渡した手紙。
私も知られてばかりではなく。
情報以外の、『差出人』の事を知りたくて。
知ってみたくて、出した手紙だ。
情報を出せとは言わない。
しかし、話をしてみたいのだ。
このような手紙を出してくれる方なら文通をしてくれるのではないかと。
そう睨んだのだ。

「柳生はほんにその手紙に主にご執着じゃのう」
「挑まれては、受けて立たずには居られません」
「逃げるのは紳士道に反するってか?」

そう笑う仁王君。

「手紙を出すまでとは思わんかったよ」
「そうでしょうか。こんな面白い事をした方とお話をしてみたいでけですよ」
「それだけ?」

首をかしげて、真っ直ぐに視線を交わせる。

「どういう意味です」
「なーんにも。のぉ、柳生。俺にも手伝わせてくれんか」
「駄目です」
「なんで?」
「相手は私を指名ですよ」
「それだけ?」

また、言った言葉に首を捻る。

「ほんに、それだけか。
 自分の胸によーく聞いてみんしゃい。
 相手がどうたらじゃなく、自分が断ったその感情を」

そんなの。
聞かれたって困る。
仁王君は何をしたいのか、その意図が掴めない。

「ま。次のお題、頑張りんしゃい」
「……はい」

それでこの会話は打ち切られた。
とりあえず、次の手紙を読もう。
グレーの手紙に手をかけた。

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