01


引っ越があっても翌日からは普通に学校はある。
学校があれば部活はあるもので。

「渡瀬がいねぇな」
「ああ、そう言えば見当たりませんね」

ジャッカル先輩の言葉に頷く。
さぼるような人じゃないからお呼出でも受けてるのかも。
そう思いながらボールを打つ。
蓮二先輩のせいで私がテニスができると知られてしまったので球出しも私の仕事になってしまった。

「ブン太先輩、テンポ下がってます」
「これ、なん、球目だと、思って、るんだよぃ……!」
「体力向上です。たくさん動いてもらわないと困るので。
 試合だとジャッカル先輩に頼るから意味ないでしょう」
「く、っそ!」

因みにあと少しで三桁。
ほとんど間隔空けずにしかも意地悪な所に玉を出してるので相当、走り回されてる。

「渡瀬の様子、見に行った方が良いんじゃねのか?」

先輩の瞳は不安と危惧感を表してる。
先輩も同じ事を考えてるのだろう。

「……そうですね。ブン太先輩、ラスト五球です」

球出しの後にジャッカル先輩とブン太先輩と軽くランニングをしながら渡瀬先輩を探し始めた。
走る事に関してはブン太先輩愚痴を言ってたけど。
渡瀬先輩は校舎裏にいた。
ちょうど手を出そうとした所でナイスタイミングと言うかバットタイミングと言うか。
先輩達の事だから全員に知れ渡る事となるだろう。そうなると解決しなきゃいけなくなる。

静観していた精市先輩も。
古賀先輩がいるんだ知らないわけがない。

ハルは知ってても興味無さげだったから何もしないだろう。
ヒロ先輩は……渡瀬先輩の意を汲んで黙ってただけだから助けるか。
柳先輩も知ってたと思うけど精市先輩に止められてると思う。
どっちにしろ。

「上手くいかないものだね、世界って」

モテモテ逆ハーではないし。
いじめを積極的に助けてくれるわけでもなく。
いじめがあるって判ってマネになったんだからある程度は自己責任だろう。
たとえテニス部の方から誘ってもだ。
ま、だから「見つけたら」助けはするけど。

私は自分で解決した。
精市先輩が気にかけてくれなくても無事に解決はできてた。

「舞、何か言ったかよぃ」
「いえ」

さて、見つかるのが思ったより早かった否、この場合遅かったのだろうけど。
周りが渡瀬先輩を気にかけられるようになってからは見つかるのが早っかた。
(その前は申し訳ないけど私の件があったからそんな余裕なかっただろう)

私はどうしようかな。



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