01
現実は何があっても変わらない。
昨日の事で精神的に再び脆くなって。
私の限界を迎え始めている事を感じた。
弦兄に迷惑をかけている。
仁王先輩を苦しめている。
全部、私のせい。
私は少し思い上がっていたのかもしれない。
今までずっと穏やかな人生だったから。
今までの分が今、纏めて私に襲いかかっているんだ。
忘れるな、と。
私の幸せは皆の不幸にしかなりえないのだと。
生を受けたからなんとなく生きてきたけれど。
けれど
なんで今まで死を考えた事はなかったのだろう。
私の存在がそうならばいない方が良かったのでは?
最初は皆、悲しむけれど年月は流れそれはだんだん薄れる。
時は誰にでも平等だ。
時に優しく。
時に残酷なぐらいに。
時は進む。
私がいないという現実が当たり前になる。
カチカチカチカチ……
カッターの刃が出し入れされる音が誰もいない部室に響く。
いや、こんな所で死ぬつもりはない。
迷惑がかかりすぎるし私の死に場所にしては豪華すぎる。
私はどこか荒れ地で死ぬのがお似合い。
「舞!!何をやってるんだよ!」
バン、と扉が開かれ赤也君が私のカッターを取り上げた。
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