01


今、私はお屋敷、否、豪邸、否否、宮殿にいる。

今日は精市先輩に言われてマネ業はお休み。
気を使ってだと思う。
多分、両方に。

そして綾菜に誘われるままにこの場所にきた。
会わせたい相手がいると。
移動の合間はマネの事を黙ってた事のブーイングをされ続けたけど。

「凄いね」
「私は慣れたけど」
「やっぱりお嬢様なんだね」
「まぁね。さ、行こう」

そのまま宮殿の中へ。
すると執事が現れて案内をしてくれた。
宮殿内の趣味はいいが、どれもこれもきっと目が痛くなるぐらいの金額なのだろう。

「こちらでございます」

扉を開ける執事。
中には優雅に紅茶を飲むキングがいた。

「よう、久しぶりだな。真田舞」
「跡部さん……」
「まぁ、とりあえず座れ。綾菜もご苦労だったな」
「私をパシリに使うなんて本当にいい度胸よね」

怪しい笑みを浮かべる綾菜の隣に大人しく座る。
綾菜は言われる前から既に座っていた。
跡部さんが何も言わないあたり何時もの事なのだろう。
そしてそこにはお互いの親密さを感じた。

「跡部君とどういう関係なの?」
「従兄よ」

跡部君と従兄。
凄いカミングアウトをされた感じだ。
なるほど、それならお嬢様というのも頷ける。

「俺様が呼び出したのは他でもねぇ。お前に謝らなければならねぇ事があるんだ」

謝る事。
それは、一つしかない。
練習試合の……。

「あいつの嫉妬のせいとも言えなくないが。
 それで大変な事になっているんだろう?
 その原因は俺様だ。悪かった」

頭を下げる跡部さん。
あの跡部さんが頭を下げるなんて確かに貴重かもしれない。
それでも、悪いと思った事を素直に謝れる人なんだ、この人は。




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