01
赤也君と登校して、下校して。
学校ではただ課題をだこなすだけの日々。
そんなのが一週間ぐらい続いた。
じわじわと精神が崩れて行くのが自分でもわかる。
壊れないように、必死に塞き止めても少しずつ隙間から何かが流れでているような。
「舞」
「精市先輩……」
花壇の前。
精市先輩が丁寧に世話をしているのがよく判るぐらいに美しく花が咲いている。
彼がここに私を呼び出したのだ。
今、彼は私に背を向けて花壇をいじっている。
「仁王と喧嘩してんでしょう?」
「喧嘩かどうかは解りません。私が何かやってしまっただけで」
「仁王、内心荒れてるよ。持ち前のポーカーフェイスで隠してるけどね」
その言葉にぐらぐらと心がゆれた気がした。
駄目。
何も、感じてはいけない。
「私にはどうしようもできませんよ」
「どうにかできるのは舞だけだよ」
「でも」
「もう、二人とも頑固なんだから。もう一度話し合ってみなよ」
「別に私は話す事なんて」
「そう仁王も望んでる」
「ハ、仁王君が……。精市先輩は?」
「俺もそう望んでる。舞も仁王も俺の大切な仲間だから」
「……考えておきます」
「そうしてくれるかな」
きっと今、優しく笑ってる。
全てを包容するかのような。
安心させるような。
そんな笑顔で。
「今日もマネ、宜しくね」
「はい」
仲直り。
けれどそんな事、あるのだろうか。
できるのだろうか。
美しく咲く花を無感情に見つめた。
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