01
下駄箱にラブレターが入っていた。
ブッラクレターだ。
ようするにお呼出し。
前から思ってたけどこういうのってよく調べてるよな。
「おはよう、舞」
後ろから現れた綾菜に見えないようにそっと鞄の中に手紙を入れる。
「おはよう」
「ね、聞いてよ!あの例の編入生、テニス部にマネになったのよ」
面白い玩具を手に入れたように無邪気に笑う綾菜。
「へぇ、そうなんだ。相変わらず情報が早いね」
「まあね。大丈夫かなー、あの先輩。ファンクラブに何かされないかな?」
「表情と言葉が会ってないよ」
見た目はわくわく、口調は心底心配そうで。
「他人の不幸は蜜の味って言うでしょ?」
「それは言うけど不謹慎な事は言わない方がいいと思うな」
「ノープロブレム!気づかないからさ、みんな」
確かに綾菜の猫かぶりの豹変ようはいっそすがすがしいぐらいだ。
オープンで話しているわりに抜け目ない。
「ま、程々にね」
「了解」
そこでこの話は打ち切りになり、
話題は普通の極々何時もどうりの話に変わる。
お呼びだしは、夏休み以来か。
これって無視してもいいと思うんだけどそれはそれで五月蝿い。
全く仕方無い。
行ってやるか。
そんな感じで昼休み。
私は再び校舎裏に私は来ていた。
以前呼び出した人達に加えて更にもう三人いる。
つまり合計六人。
前回の倍だ。
さっきからぎゃーぎゃー言ってる。
無視しているけど。
日本語通じなさそうだし言い返す気力がない。
あ、でも話の内容的には昨日の事はばれてないみたいだ。
どこ吹く風でいるとさらに怒り始めた。
うん、勿論狙ったけど。
性格悪いのかな私。
パァン―――
左頬に熱を感じた。
少し痛い。
殴られたらしい。
平手なのが可愛い。
「ちょっと貴方聞いてるの!?」
「はい、聞いてますよ」
それがわざとらしかったのか顔を真っ赤にして再び腕が振り上げられる。
また殴られるかなー、なんて思って避けようとして、止めた。
後方に柳生先輩がいたから。
「貴方達、何をしているのですか?」
遠い場所にいたのにその声は妙に響いた。
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