01


夏休みは百合さんの元に訪ねて大阪観光をしている間にあっという間に終わった。
ハルは全国があったから途中から参加。
応援しに行くって言ったら先に大阪に行けと言われたからだ。

そして、新学期が始まった。

「舞久しぶり!はい、これお土産」

綾菜が渡してくれたのはキーホルダー。
グアムのロゴが入っている。
てことは海外行ってたのか。
リッチだな。

「ありがと。旅行は楽しかった?」
「うん。あ、そういえば中二に編入生が来るらしいよ」
「編入?」
「そう。立海は私立だからそういう形なの。確かA組だったはず」
「へぇ、そうなんだ」

精市先輩と同じクラスだな。
しかし綾菜は何故にそんな事を知ってるのだ。
自分の学年ならまだ解るが他の学年の事までとなると、凄い情報収集能力だ。
情報収入源は何処からなのだろう。

「何の話してんだ?」
「あ、赤也君おはよ」
「おはよう、切原君」

登校してきた赤也君が首を突っ込んでくる。
綾菜の外向けの笑顔への切り替えが素晴らしい。

「編入生が上の学年に来るらしいって。A組だよ」
「うげ、最悪」
「部長、機嫌が悪くならないといいけどねー」

あ、なるほど。
ミーハーで精市先輩の機嫌を損ねたとばっちりは部活内容に響くからな。

「あ、そういえば全国制覇おめでとう」
「サンキュ。といっても俺は参加してねーけどよ」
「切原君なら来年はレギュラーになれるよ。頑張って!」
「おう」

編入生の話はこれで終わる、はずだった。

上の学年だから関わりがないと思ってたから。

通常授業に切り替わって数日後。
四時間目の途中でふと空を見上げると
教室塔の向かい側の屋上から銀色の髪が見えた。
あ、ハルさぼってるな。
大方、移動教室だから移動するふりしてのさぼりだろう。
小学校の頃の癖が抜けてないんだよね。
成績いいし、テニス部は学校内におけて特別だから教師陣も強く言えないからそれにつけ込んで。
それに最近……。
よし、お昼は屋上に行こう。
テニス部員は屋上で食べるのかと思ったら意外とそんな事ないからハル以外はいないだろう。

「おい、真田何処見てる」

先生の声で我に帰り前を見る。

「すいません。外の様子がおかしくて」
「おかしい?」
「はい。でもさっき警察に捕まっていてみたいです。
 ひったくりだったみたいで……。可哀想に」

ふぅ、と嘆くようなため息をついてそっと先生の顔を伺う。
こんなこと普通なら嘘だろとすまされるが生憎私は「優等生」として通ってる。
演技も詐欺師直伝。先生もあっさり引いてくれた。

「おい」

こそりと話しかけ来る赤也君ににっこり笑う。

「今の嘘だろ」
「そうだけど?」
「ひっでー。優等生の名が泣けてくるな」
「要領がいいんだよ」

ニヤニヤ笑う赤也君。
綾菜からも視線を感じる。
全て無視してひたすらチャイムが鳴るを待ち続けた。



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