01


「あー、あー。こう?」
「もっと低く」
「あー」
「もうちっと高く」
「こう?」
「そうそう。いい感じじゃ、舞」

何をしているかと言えば声まねの練習。
折角だからペテンの練習に乗じて教わってる。
面白そうだからね。
そう、ハルが遂にイリュージョンの練習に入ったのだ。
きっかけはこの一言。

「つまらん」

ハルは私の助言と共にめきめきと実力をのばしていった。
勿論、本人の努力があったからこそだけれど。
そんなこんなで一年、二年とたち周りにハルに敵う子がいなくなった。
未来の王者レギュラーはこの時期から強かった。
私もハルには敵わない。
それでも他の人よりは相手になるけど。
そしてこの一言にいたる。
相変わらずハルはこれと言った必殺技とか持ってない。

「じゃあ、技とか新しいプレイスタイルの開発をしてみたら?」

と言う事でイリュージョンの開発へ。
それに関しての口出しはしなかったが結局。
因に言うとペテンはイリュージョンの副産物みたいな物。

「カツラつけると結構印象が変わるもんだね」
「まぁの。やり方によっては無限大に使い道がある。じゃが、まだまだぜよ」

今ハルは茶髪だ。私は金髪。

「眼鏡かけてみてよ、逆光眼鏡」
「ん」

眼鏡(伊達)をかけるハル。
髪型が違うけど柳生はこんな感じか。

「そーいえばハルって中学校はどうするの?
 この前テニスの名門な所に行きたいって言ってたし」

捻くれて私と家族以外には心を開かないのは変わらないけどスポーツ少年に成長はしてた。
スポーツ少年って響きは爽やかなのにハルは年々色っぽくなってく。
うーん、この歳でこれだと大人になった時は凄そうだ。

「名門だと青学とか?」
「青春学園とか凄いネーミングセンスなり。どういう神経であんな恥ずかしい名前にしたんじゃろうな。
 でも違うぜよ。王者と歌われる立海に行こうと思う」

やっぱりか。

「立海ね」
「ちと遠いけどな」
「じゃあ、受験勉強しなくていいの?」
「俺は頭いいからの、必要ないなり」
「うっわー」
「ぷりっ」

ごまかすようにハルは私が去年、誕生日に買ってあげたダーツの矢を投げた。
みごと真ん中にあたった。



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