01


昼食を作り終えて声をかけようとしたらハルがじっとチラシに夢中になっていた。
何かと後ろから覗く。

「……縁日」

今日の昼から夕方にかけてある縁日のお知らせのチラシ。
ハルはそれを見ていたのだ。
縁日とか好きだからな、ハル。

「夕方ぐらいにでも冷やかしに行ってみる?」
「行くぜよ!」

顔を輝かして言うものだから笑いそうなのをこらえるのが大変だった。
ハルもまだ可愛さが抜けきってないな。
まだ中学生だから仕方ないか。

「決定ね。じゃあお昼食べよう」
「今日はなんじゃ?」
「カルボナーラ」
「肉」
「多少は入ってるから我慢しなよ。
 なんなら来週はイカスミスパゲッティーにしようか?」
「いただきます」

素直で宜しい。

縁日に行くなら浴衣でも出そうと思ってタンスの中をあさる。
小さい時に弦兄と浴衣着て行ったなー、なんて思いだして少し懐かしい気分に浸ってみたり。
お、あった。
濃紺の男物の浴衣。
サイズも大丈夫だろう。
ハルが着るなら私も着ないとハルが拗ねるから私のぶんも。
私のは黒地に白い花と蝶の柄のやつ。

「ハル」

リビングにいるハルに浴衣を渡すと首を傾げ浴衣を見てそれから私の顔を見る。

「それ着なよ。せっかくだしね」

ハルはお洒落だから毎回出かける度に何を着るか頭を働かせるからね。
これなら考えなくてすむ。

「着付けわかる?」
「いや、ちょっと微妙じゃな」
「そう。じゃあ着せてあげるから脱いで」
「は?」
「ん?」
「脱げって、さすがに無理じゃよ!」
「何言ってるのさ。昔は一緒にお風呂に入ったのに今更」
「小二までの話しなり。
 図があればわかるから止めてくれ」
「そう言うなら別にいいけどさ。
 あれだね。お年頃ってやつなんだね」
「舞もじゃろ」
「ほら、私は別に気にしないから」

精神年齢はもうおばさんなんだよ、ハル。



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