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四天宝寺との対戦のその二日後。

「東京青春学園 対 神奈川立海大学付属中
 決勝を始めます」

運命のホイッスルが鳴り響いた。

「真田弦一郎VS手塚国光!」

「弦兄」
「行ってくる」
「いってらっしゃい」

弦兄にとってはまちにまった試合なのだろう。
長い長い準備期間に対してそれを披露する時間はあまりにも短い。
そして失敗をしてしまう可能性のほうが遥かに高く
それでいて積み上げた物が崩れ落ちるのはあっというまで。

ほどくのは容易く
結ぶのは難しい。
いつだって。
難儀な話しだ。

それはまるで花火のよう。
そして人生に似ている。

ならば。
そこに大輪の花びらを空一面に描き、輝ききってやる。




「ハル!」

弦兄と赤也達が勝って。
それからハルの試合。
手塚さんと白石さんのイリュージョンは破られてしまった。
このままだと知っているとおりになってしまう。
それは駄目だ。
そんな事にはさせない。

「本気でやれ!
 イリュージョンだけでそこの天才には勝てない!
 それはハルだってわかってるでしょう!
 詐欺師のプライドなんて捨ててしまえ!!」

私が怒鳴ったのに驚いたのか視線が集まる。
同時に不二の出した「星花火」で決まったと思われた玉をあっさりと返してしまい会場内も静まった。

「……やれやれ、まったくじゃの。
 幸村達がいるからなんて甘えて本気を出さずに負けるとこやった。
 あんがとさん、舞。
 さて、不二。
 こっから先は一点たりとも取らせんよ」

不敵に笑うハルは何よりも頼もしかった。



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