01


ハルが後ろからのしかかるから動けない。
暑さでだれているとはいえ。

「ハル」
「んー」
「ハル」
「……」
「ハル、重い」
「気にせんでええよ」
「いや、気にするから」
「くっついてると余計暑くない?」
「舞は低体温じゃし二人っきりの時間も久しぶりだから、ええ」
「そう」

関東大会の敗北のせいで練習ももっと厳しくなっている。
朝から晩までテニス漬け。
だから確かに二人っきりなのは久しぶり。
木陰だから若干涼しいし別にいいか。

「後ろからだと身動きできないから離れて」
「じゃあ、膝枕」
「はいはい」

私の前にハルが周りこんで座る。
ハルのさらさらな銀髪を手で梳く。

「寝てもいいよ」
「ピヨ」

髪を梳かれる感覚が気持ちいいのか目を瞑るハル。
ゆるゆると意識が遠のいていくのを見守る。
完全に寝付いたのを確認してから本を開いた。
一時間ぐらいたったら起こせばいいだろう。

今は何も考えずにゆっくりと休めばいい。

赤也が来たのはハルが寝てるから三十分たった後の事。
興味深げにハルの寝顔を見ている。

「仁王先輩、良く寝てんなー」
「大きな声は出さないでね」
「わーてるって」
「そんなにハルの寝顔が珍しい?」
「珍しいって、始めてだよ。
 仁王先輩は人前で滅多に寝ないし、寝てても俯せで顔見せないし。
 てゆーか近づいたら起きる」
「ハルは人の気配に敏感だからね」
「舞の近くだと無防備だな。
 つーか前から思ってたけど何で舞と仁王先輩って付き合ってないんだよ」
「ハルが私に心を許してるからってそれは幼馴染みだからであってそこに恋愛感情があるか別でしょ。
 それに幼馴染みって一番そういう仲に発展しにくいし」
「端から見るとそう見えるけど」
「違うよ」
「ふぅーん?」
「赤也もその内解るよ」
「解るか?」
「解るよ」
「絶対?」
「絶対」
「そっか。じゃあ、気長に待つとしましょーかね」
「所で赤也はどうしたの?」
「自主練」
「そ、頑張って」
「おう」
「んじゃあ、俺も参加しようかの」
「うおぅ!」
「何時から起きてたの?」
「プリ」

体を起こして、あくびをするとうっすらと笑顔を浮かべた。
なんかチェシャ猫みたい。

「先輩の寝顔をじろじろと見おってからに、お代は高いぜよ?覚悟しんしゃい」

赤也の顔が引きつった。



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