04


他の人が近くにいる気配で私は目を覚ました。

やけに豪華な天井が視界に入る。

覚醒しきっていない頭でゆっくりと横をむくと弦兄が近くの椅子に座って本を読んでいた。
……弦兄とこの部屋の雰囲気が恐ろしく似合わない

「気がついたか」

視線に気付いたのか本から顔をあげる弦兄。

「わたし……」

起き上がるのを制される。

「急に叫び出して気絶したと聞いた」
「んっ」

額に手がのる。
冷たい手が気持ちいい。
あぁ、そうだ。
あの言葉をきいたから私は。

「熱はないみたいだが、うなされていた」

それは、昔の夢を見たから。
弦兄と出会うよりずっとずっと前の。

「今、跡部を呼んでくるからな」

立ち上がってどっかに行こうとするのに焦りを覚えて。
思わず手を伸ばして服を掴んでしまった。

「舞?」
「ごめ、んなさい……」

服を放す。

「大丈夫だ。直ぐ戻る」

薄く笑って弦兄は部屋を出て行った。


「……私の、馬鹿」

何を甘えている。
甘える事は頼る事で頼る事は少なからず相手の負担になる。
私は誰かに頼らないと生きていけない。
けれどそれを悟られず
取るにたらないただ傍にいる存在でいたい。
それだけで、私は十分だから。



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