02


跡部さんのカリスマ性は確かに凄い。
ただただ偉いだけで、力があるだけではこのカリスマ性は現れないだろう。
これは本来の彼の気性故に違いない。

「大変な事になったのは私の態度のせいです。
 跡部さんが謝る事でもないですよ。それに、だから弦兄と再会できたんですし」
「景吾を甘やかしたら駄目だよ」
「お前は黙ってろ綾菜」
「だって……。それで今、舞すごく苦しんでるんのよ」

……こんな台詞は言いたくないけど。
私の前で私の為に喧嘩しないで欲しいな。

「お前にしては珍しく真田をお気に召しているじゃないか」
「当然じゃない。こんな面白い子いないし。それに友達だからね」
「お前が友達ねぇ……」
「悪い?友達の幸せ願って」

幸せ?
私が?
そんなの。
 
ドクン、と心臓がなる。

動悸。
冷や汗が流れる。

「いや、何も。変わったなと思うだけだ」
「私だって好きで人を疑ってかかってるわけじゃないわ。
 けど舞は違うから。
 だから舞に幸せになって欲しいの!って、舞!?」

汚い物を見るような視線。

陰口。

『あの子が幸せになるなんて報われないでしょうね』

「あ……嫌」
「舞?」

「いやぁぁぁああぁぁぁあああ!!」


ブツンと、意識が切れた。



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