05
真田弦一郎side
別れは唐突だった。
再会も唐突だった。
再会した時の舞はどこか迷い子のようで不安定で悲しみにくれていた。
たぶん、つい最近何かあったのだろう。
そのぐらいは解る。
舞はすがるようにずっと俺の傍から離れようとしなかった。
俺と共にいた数年。
別れてからの年月。
後者の方がずっと長い。
それはこれから取り戻せばいいし
これから解りあえばいい。
どんな人生を送ってきたのかは解らない。
でも少なからず幸せだったと思う。
今は絶望に満ちた表情をしていてもだ。
少し話せば舞が大切にされてた事は解る。
「これからは俺が守るからな」
幼い頃に再会したら守ると決めた誓いを口にする。
口にするのは確認で、改めて己にその事を刻み付けるため。
「守らなくても、大丈夫だよ……」
そういう所、記憶にあった舞と変わらない。
昔からそう。
守られるのを嫌がっていた。
「兄が妹を守らんでどうする」
「弦兄ってそんな感じの人だったよね、昔から」
「む、そうだったか?」
「うん」
「そうか」
ただ今は舞が少しでも幸せを感じられるように。
そう、願うばかりだ。
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