04
久々の本当の自宅は私がいた当時とまったく変わらなかった。
古い日本家屋。
堂々と、威厳があって、それでいて暖かい。
時間が止まったような、そんな感覚を覚えさせる。
弦兄に背を押されて中に入るとすでに連絡を入れてあったのか両親とも私に抱きついて、泣いていた。
お爺ちゃんも後ろの方で感極まったって顔をしてる。
もう一人のお兄ちゃんもいる。
「おかえり、舞」
「ただいま……」
私の為に豪華な料理を作って、それでたくさん色々話して。
私がいなかったその時間を埋めるかのように。
みんな私を迎え入れてくれた。
自室もきちんと変わらずにあって、たくさんのプレゼントがおかれてあった。
「これ」
「驚いたか」
弦兄に言葉に頷く。
「開けてみろ」
言われるままにプレゼントを開ける。
ぬいぐるみや玩具から始まって文房具、アクセサリーまで。
そしてそこには
『お誕生日おめでとう』
と書かれたメッセージと手紙。
「毎年、買ってたの?」
「ああ。ようやく渡せた」
「ありがとう、大切にする」
ぎゅう、と大きなクマのぬいぐるみを抱きしめる。
「舞」
「何?」
「お前が今までどんな人生を送ってきたか、聞きたい」
「私の……」
私が誘拐されて、彷徨ってる時この世に絶望していた子供に出会った。
その子一緒に住んで。
大切で、穏やかな時間だった。
でも別れて……。
「ここ一週間は赤也の家にお邪魔になっていたのだろう?」
「うん」
「その前はどうだ」
「まだ、言えない。ご免なさい……。でも」
「言いたくなければいい。言えるようになったらその時、話してくれればいい」
「ごめん」
弦兄の優しさに甘える自分が憎かった。
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