02


部活が終わり、ほとんどの人が帰って行く中私は部室にいた。
中には渡瀬先輩が部誌を書いているでけで誰もいない。
そして私は部室の掃除をしていた。
赤也君は遠くで弦兄に遅刻のお説教を受けているからもうしばらくかかるだろう。

「ごめんね、舞ちゃん。私の仕事なのに」
「いえ。怪我をしているのですから仕方ないですよ」
「ありがとう。舞ちゃんは大丈夫なの?」
「何がですか?」
「あ、なんでもないよ」

私の呼び出しができなくなった分、渡瀬先輩にいったのだろう。
柳生先輩が気づいて私に手伝ってあげて欲しいと。
隠したがってるみたいだからの気のまわし方なのだろう。

「この前、氷帝の練習試合があったでしょ?」
「はい」
「私、氷帝に仲がいい人がいるの」
「そうなんですか」
「それでその人経由で跡部君が舞ちゃんの名前知りたがってるって知って、教えたけど駄目だったかな?」
「いえ」
「よかった。それで、あの、名字知らなくて舞ちゃんのクラスメイトの人に名字教えてもらったの。
 真田って言うんだね。もしかしたら真田君の親戚さんかなっておもったんだけど」
「ええ。……ん?」

適当に返事してしていたのだが、今。
渡瀬先輩の様子を伺うとびっくりした顔をしている。
あー、やっちゃったな。

「そうなんだ!あ、もしかして妹さん?」
「え、ええ」

いいや、なんかもう。
疲れた。
いろいろと。

「でも、話してるとこ見た事ないけど。
 それに真田君にマネの事」
「生き別れ、なんですよ。私が小さい頃に誘拐されましてね」
「嘘……」

聞いてはいけない事を聞いたようにもう仕分けなさそうな顔をしている。
本当、善良な人だな。この人は。

「じゃあ、まだ」
「ええ、まだ話した事がありませんね」
「なんで?」
「弦兄が私の事忘れているかもしれないじゃないですか」

言い訳でもあるし
望んでいた事でもある。

「そんな事ないよ!今からでも会いにいこう!!」
「え?ちょ……!!」

ぐいっと引っ張られて外にでる。
駆け足だから止まるに止まれない。

「真田君!」
「む?」

弦兄と視線があったきがした。



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