05


赤也君の拾われて彼の家に行くと彼の母親の驚かれたが
優しく迎え入れてくれた。
家出?の理由も何も聞かないでくれている。
赤也君も何も聞かず私を励ますようにさっきから明るい声でずっとおしゃべりをしている。
テニスの事ばっかりだけど。
格闘ゲームにもさそわれた。
助かる。
何も聞いてこない事が。
気を使われているのだろう。
聞かれたら、泊めてもらいながら黙秘するわけにもいかない。
そうするとハル……いや仁王君、との事を話す必要が出てくるから。

「舞って実は視力いいのか?」

お風呂上がりに唐突に言う。
今は眼鏡をしていないし、髪も下ろしている。

「うん。視力はいいよ」
「今のほうが絶対モテると思うけど」
「興味ないから」
「だろうなー」
「赤也君はそういうのに興味あるの?」
「ない。良い女がいたら話はべつだけどな。今はテニス一本だ」
「ふーん」
「さ、俺はもう寝るから」
「勉強、しないんだ」
「今日は疲れたから良いんだ!」
「そう、お休み」
「ああ、お休みな」

翌日、赤也君と共に登校してきてめちゃくちゃ綾菜に驚かれた。
マネをやってるのを気づかれないようにするが苦労したけれど。
その後、やっぱり心配そうにずっと私の事を見てきた。
そんなに、解りやすいのかな。
隠してるつもりはあるけれど、やっぱり無理だったのだろうか。

「保健室に行ったほうがいいんじゃないの?」
「大丈夫だよ」
「でも」
「気にする程じゃないから」
「そう……」

ここまで私って弱かったか?

強くは無いとは思ってたけど。
強かったら、きっと他人に理由を求めずに自分だけで生きこれただろう。


時折、屋上から見える綺麗な銀色を見ないよう、机に突っ伏した。



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