03


ハル、と呟いた私の声が寂しく響く渡る。
今日の氷帝との試合は滞り無く終わったのに一向に機嫌が治らない。
仲間達にも心配されてた。
ハルはあまり感情を表にださないから。
珍しいというより心配になったのだろう。
家に帰ってもそれは変わらず。
居間のソファーにどっしり座って動かない。
何故だろう。原因はわかるが理由がわからない。
私は、ハルにこんな気持ちで居続けて欲しくないのに。

「何で怒ってるの?」
「……」
「言ってくれなきゃ解らないよ」
「……舞は危機感が薄すぎじゃ」
「危機感?跡部さんにキスされても何も感じないし大きな犬にじゃれられた程度にしか思わないよ」
「だからって抵抗しない理由にはならん」

私が跡部さんにキスされそうになったのに怒っているのだろう。
でもハルが怒る理由にはならない。
ハルはこの位では怒らない。
心配とかしたり私を取られるみたいな独占欲からきてるなら
怒るのではなく、甘えてくるはず。
でも、私がハルを怒らせている理由になっているのなら。

「ごめんなさい、ハル」
「……ッ!お前は!俺を馬鹿にしとるのか!?」

胸ぐらをつかまれ押し倒された。
睨まれるその瞳が悲しみに揺れているような気がする。
何を、間違えた?
何を私は。

「お前は!俺をなんだと!」
「ハルが、私の事を不快に思うなら、私は、ハルの前から消えるよ?」

私はハルの負担になりたくない。
私がハルの感情の不の方向に向かわせるようなら私はハルの前から消える事もいとわない。

「……好きにしろ!」

ハルは私から離れて自分の部屋へ戻って行った。
扉を閉めるときにバタン、と大きな音がした。

私はその後、鞄に必要な物を詰めて家をでた。
居候だからたいして物を置いてないので荷物ではない。
外はそろそろ秋になりかかっているからもう夜は肌寒い。
その代わりに空気が澄んで星がいつもより綺麗に見える。
けれど今の私にはそんなのを感じている余裕は無かった。

世界に色が無くなった。

そりゃあ、そうだろう。
私は自分の存在意義を身内に求めてたから。
身内の為に動き身内の為に生きよう。
それが私の生きる糧となったいた。
ハルに拒絶された今、私はそれを失った。
他の身内には会えないから。
周りには私の行動は依存に見えるだろう。
でも私はそれが依存では無い事を自覚している。
依存は相手の負担になるから。
しかし自分で出てくと言いながらこの様か。

「無様だな……」

いいや。
とりあえず私はこれからとりあえずハルの人生に関わらないようにしよう。
それがハルの幸せになるのならば。
ふらふらと歩き電車に適当に乗り。
光で満ちているこの空間はあまりにも眩しい。
これから家族がまっている家に帰るのかもしれない。
またはこれから友人と共にどこか飲みにいかもしれない。
どちらにせよ、全員自分の生を楽しんでる。

どうか。
お願いですから。
私に。

「舞?」



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