04


制服の中に仕込んでいる護身用の武器。
今まで使う必要がなかったから特に手入れをしていなかったけれど今回は使うかもしれない。
ので、点検を開始する。
折りたたみ式小型ナイフ、刃こぼれなーし。
スタンガン、きちんと作動する。
警棒、大丈夫。
これは3段に伸び縮みする金属製。
催眠スプレー、きちんと中身がある。
ブラックジャック、トンファー等、全部大丈夫。
これは全部インターネットやらなんやらで手に入れた奴だ。
一応格闘技の心得もあるから使用もばっちし。
生まれ変わって始めての使用だ。
と言っても私はこの武器達を自分の護身用に使った事はない。
だいたい身内の子を傷つけた相手を脅す用だし。
傷つけはしない。
だって、後味が悪すぎる。身内の子が嫌がるから。

「……、よし」

トリカブトを隠すように袋に入れて鞄に入れて家を出る。
私は朝練は途中参加。
ハルよりゆっくり家をでて室内から観察するだけだから最初からは見ないのだ。

「おはよ、赤也君」

朝礼十分前。
赤也君が左頬を赤くして教室に入ってきた。
遅刻したので弦兄の鉄拳制裁を喰らったのだ。

「はよ、舞」
「毎日大変だね、遅刻」
「うるせえ」

あー、機嫌悪いな。
最近テニスの伸びが悪いから苛ついているのだろう。

「なあ、舞。俺、どうやったら強くなれんだろう。最近全然調子でなくて……」
「スランプは誰でもあるよ。そうだな、赤也君はもっと自制心をもってみなよ。
 赤目の状態をコントロールできるようになったら全然違うよ」

赤目になるタイミング、ならないタイミング、また赤目になっても攻撃的なテニスにならないようにする。
それができるだけで大分違う。

「それができたら苦労しねーよ」
「だから努力しなって。そういえば赤也君はファンクラブには詳しいの?」
「は?」

眉しかめられた。
赤也君、ファンクラブ嫌いだからな。

「なんでそんな事を聞くんだよ」
「毎日見ててあの組織ってどうなってるのか気になって」
「俺が知るかよ」
「トップとかは?」
「だ」
「三年のA組の人だよ」

赤也君の言葉を遮って言う綾菜。

「たしか古賀先輩って人だよ」
「へえ、流石だね」

よし、標的はわかった。
やるならトップを狙わないと、ね。

「そんな事ないよ。あ、そういえば切原君の所のマネの人。この前氷帝に行ったらしいよね?」
「ああ……。練習試合の打ち合わせの書類を届けにな」
「あ、もしかして切原君はあのマネの人嫌いだった?」

歯切れが悪い赤也君に申し訳なさそうにしている。
赤也君の言葉を遮ってさらに何事も無いように話かければ誰でもそうなるって。

「そう言うわけじゃねぇ。渡瀬先輩は悪い人じゃねえ。ただ……」
「ただ?」
「渡瀬先輩が、あの!あの副部長に惚れたんだよ!」

がぁ!と叫ぶ赤也君。
お、おぉ。
弦兄、惚れられてんだ。
うーん。
最近老けてきたからまさか惚れられるとは思わなかった。
確かに怪しいなとは思っていたが……。

「もしかして切原君はその先輩を」
「ちげぇ!ただ、部活内でそういう雰囲気をが嫌なんだ!」

まだまだお子様だなぁ。

「でもそのマネのひと氷帝で結構気に入れられてたみたいだよ」
「なんでそんな事知ってるの?不思議すぎるよ」
「ふふ、秘密」

見た目はお嬢様なのにな……。
裏が……。



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