03


なんじゃそれ、とハルが私の横にある物を指でさして言う。

「花だよ」

そう、花。
袋に入れて持ち運びに便利になっている。

「それ、トリカブトのように見えるんじゃが」
「よく知ってるね」
「そりゃあ有名な物だからのぉ。じゃから、なんでそんな有毒な……」

トリカブトは食べると嘔吐・呼吸困難、臓器不全などから死に至る。
経皮吸収・経粘膜吸収され、経口から摂取後数十分で死亡する即効性もあるとっっても怖い花だ。
生で私も始めて見た。
なんでこんな花を持っているかと言うと話は二、三日前に遡る事になる。

例のお呼出の日。
その晩に私はとある人物にメールを送った。
ハルと併用のパソコンのEメールでだ。
私は居候だから携帯とかそういうのは欲しいと言わなかった。
だからハルのパソコンでメールを使用している。
これならハルにメールを見られる心配が無いからね。
メールを送った人物。

それは白石蔵ノ介。
四天宝寺に部長であるあの方だ。
夏の大阪観光中に遠山金太郎の迷子に巻き込まれた時に知り合った。
それで仲良くなったのだ。
私は白石先輩に毒草についてポピュラーで怖い毒草は何かと、そう聞いた。
その結果がこれ。
触れるだけで毒に犯されるからなおちょうどいい。
実際に使うのではなく脅しの為。
私、人殺しはしたくないからね。
どう入手したかはご想像にお任せするとして。

「うーん、最初は普通の花かなーなんて思ったらトリカブトでさ。
 びっくりだよ。家が殺風景で花ぐらい飾ろうかと思ってたんだけど」
「飾るんか?」
「まさか」
「じゃあ、今直ぐ捨てんしゃい」
「明日ね。もう夜遅いし、近くに変に捨てられる花じゃないでしょ」

それで会話は打ち切り。
私はパソコンに画面に視線を戻す。

『舞ちゃんが毒草に興味を持ってくれたのは俺としても嬉しいんやけど、扱いには注意しなきゃあかんで。
 そんなに毒性のない奴は家庭で育てる事もできるけどあくまで毒草やからな』

文章まで大阪弁だ。
白石先輩は親切ないい人だな。
色々気を配ってくれる。
お礼の返事を書いてパソコンを閉じる。

「ハル、私はもう寝るね」
「おう、お休み」
「お休み。良い夢を、ハル」

ハルが悩む事なく事を解決させる。



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