02


柳生先輩はクイッと眼鏡を人差し指です。
逆光眼鏡が光る。
成る程、怖さを演出する為の使い方もあるのか。
ひっそり関心してみたり。

「事情は知りませんが見苦しい事はよしたまえ」

そうすると女達は逃げていってしまった。
悪い事してると思ってるならしなきゃいいのに。
馬鹿だなー相変わらず。
それにパターン化している事に気づかないのだろうか。
こういうのって変わらないし……。
なんでだろう。
軽く謎だ。

「大丈夫ですか舞さん」
「ええ」
「こんな事は以前もあったのですか?」
「いえ」
「そうですか、なら良いですけれども」

くいっと眼鏡を上げる柳生先輩。
ハルにこの人は言うのかな。

「気にしていませんから」
「そうわけには行きませんよ」
「精市先輩に報告でもするのですか?」
「いえ。幸村君にはしませんよ」
「では、誰に?」
「幼馴染みと言うのは似るのですかね。有無を言わせない瞳がそっくりです。
 ええ、仁王君に以前頼まれましてね」
「黙っていてください」
「それこそ、そういうわけにはいきませんよ」

ハルに余計な事に、特に私の事で心を割いて欲しくない。
私なんかほっておいてハルは幸せであって欲しい。
私の傲慢な願い。

「では、この事をどうにかします。勿論、私は怪我をしないで。
 二度とこんな事がないように」
「いいでしょう。しかしもう一度同じ事を見たら」
「どうぞ、ご自由に」

交渉成立。
柳生先輩はアデューと言って去って行く。
さてどうしようか。
彼に連絡でもとってみるか。

「ま、何にしろ。滑稽な話だよ」

私が保身を約束するなんて、ね。




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