05


改めて立海の選手達を見たけれどレベルが高い。
平もそうだけど、特にR陣は特別だな。
それぞれの選手を双眼鏡を時に駆使しながらまとめ、一人一人のメニューを作り上げる。

「舞」
「何?おさぼり中の雅治君?」
「何でマネになったん?」

私の隣でゴロゴロしているハル。
精市先輩の目を盗んでしっかり平部員ぽく変装している。

「普段なかなかハルのテニスが見れないしさー。メニューは聞いてる実際見ると違う物もあるんだよ」
「俺の為なん?」
「私は他人の為に態々こんな事しないって。後は精市先輩に」
「それじゃ!」

急に起き上がってぐいっと顔を近づけてくる。
おおう、何だ。

「何時の間に名前で呼び合うぐらい仲良くなった!」
「あー、それね。小学校と時少しだけ会ったことあるでしょ?
 それで一人の時に声かけられて、気に入られた?」

ミーハー共は数に数えない。
人間って認めてないし。
それにすぐに消えたしね。

「最悪じゃ……」
「何が?」
「いや、こっちの話じゃ」
「いやなら辞めるけど」
「いい。で、その続きは?」
「言ったのが精市先輩だからかな。あの人はどうも嫌いになれないんだよね。類友みたいな」
「そか」

一人何か納得したみたくラケットを持って戻って行った。
どこに行ってたかって弦兄に叱られてるけどどこ吹く風だ。
あ、精市先輩と視線あった。
こりゃ、ばれてるな。
頑張れ、ハル。
ハルが消えたから例の先輩、渡瀬先輩に視線をやる。
ちょうど休憩に入った部員達にドリンクとタオルを配ってる。
平部員までしっかりサポートしてるし媚も売らない。
たぶん真面目でいい人だとは思う。
周りのミーハー五月蝿いけど。
どこ辺りが気に入らないか解らない。
雰囲気は何か思う所はあるけどそれだけで精市先輩とかハルはとやかく言わないと思うんだけどな。
だから、マネにはなれたわけだろうけど。
あ、こっちに来る。
もうちょっと周りに気を配って欲しいけど。
仕方無いか。

「あの舞ちゃん」
「何か御用ですか?」
「はい、飲み物。今日は暑いからちゃんと水分補給しなきゃ駄目だよ」
「ありがとうございます」

差し出すドリンクを受け取る。

「隣、いい?」
「どうぞ」
「ねえ、舞ちゃんは仁王君と幼馴染みって言ってたけどどのくらいの長さの付き合いなの?」
「さあ?気づいたら傍にいましたね。
 そういえば渡瀬先輩は編入生って聞きましたけれど以前は何処に?」
「あー、うん。ちょっとね。秘密、かな」

この人嘘付けないタイプの人なんだ。
誤摩化そうとして秘密って言ってもろ失敗してるし。

「舞ちゃんはすごいね、そんな一人一人のメニュー作れるなんて」

ハルの事を聞いてきたのにしつこく食い下がってこない。
という事はそういう目当てで私に近づいてきたわけではない、と。

「慣れですよ」
「そっか。でも私は立派な才能だと思うよ」
「ありがとうございます」

本当、この人はなんだろう。



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