03


「ハル」
「……」
「大丈夫。ハルのお友達との絆はそのぐらいで崩れる物じゃないでしょ」
「勿論なり」
「なら問題ないよ。ハルの場所は無くならないし心配する所はないよ。
 それに気持ちを明るい方向に向けてればきっと良い方に現実も変わる」

気持ちの持ちようだ。
気持ちが落ちれば物事も上手く回転しない。

「ハルは心配性だねー」

笑って言うと恥ずかしそうにそっぽを向かれた。
可愛いーな、本当。

「うるさい」

食べ終えたお弁当を床に置いてズッシリと抱きついてくる。
その時さりげなく私のお弁当も取り上げられて床に置かれた。
抜け目ないな。
私はハルに抱きつかれた勢いで床に倒れる。

「甘えたさんだな、もお」
「ピヨ」
「重い、ハル」
「俺は暑いぜよ」
「それはくっ付いてるからだよ」

ゴロンと寝返りを打って私の隣に寝転がるハル。

「の、舞」
「何」
「このまま昼寝せん?」
「……いーよ」
「お休みだっちゃ」
「お休みー、ハル」

静寂が二人を包む。
校庭から生徒達の遊ぶ声がする。
穏やかな、昼下がり。
隣を見るとハルは目を瞑っていて規則的に肩が上下している。
やっぱり綺麗な顔をしてるな。
日焼け全然してないし。
睫毛長い。

「ね、ハル」

返事は期待してない。
寝てるし。だから小さく呟くように言う。

「ハルは、今が幸せ?」

そういった所で抱きつかれた。

「ハ、ハル!?」

起きてたのか!

「幸せじゃよ」

穏やかな声色が上から降ってくる。
抱きしめられるから顔は見えない。
でも、ハルがそう言ってくれるなら別に構わない。
幸せだって。
そう言ってくれるだけで私は今を生きていけるのだから。

「このまま、続けばいいね」
「じゃな」

この後、ゆっくりと暗闇の中に落ちて行った。



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