02


屋上に行く時は細心の注意を払った。
夏休みがあったからあれから何も無かったとは言えあれでミーハー軍団が諦めるわけが無い。
ハルは一人屋上の日陰になる部分で寝転がっていた。

「あれ、お弁当食べないの?」
「舞か。あんまり食べる気がしないぜよ」
「駄目。ちゃんと食べないと。ほら、一緒に食べよ」

隣に座わり持って来たお弁当をハルに見せると渋々ハルも自分の鞄からお弁当を出す。
詐欺道具を入れてるバックを他人に見られないためにいつも持ち歩いてるらしい。

「で、何があったの?」
「舞はいっつもそうじゃの。何かあると察して傍にくる」
「近くにいるからね。長い付き合いだもの。わかるよ、それぐらい」

最近なんだかハルが疲れているように見える。
部活がハードだからとは違う。
そう、精神的に疲れてる感じ。
小学校時代よりハルはさぼる事は少なくなった。
それに親友の柳生先輩と移動するのをわざわざ断って逃げてまでさぼってるのもその疲れのせい。
柳生先輩はハルのさぼりを止めるタイプの人だ。
それをまくのは大変だったと思う。

「……、最近幸村の機嫌が悪いナリ」
「幸村先輩が?」
「絶対に編集生のせいじゃ。俺もアイツは苦手じゃ」
「苦手、ね」

ミーハーだったら精市先輩が不機嫌になるのは理解できる。
でもそうしたらハルは苦手じゃなくて嫌い、と表現する。

「どうして?」
「変な感じがする、んじゃ」
「詳しく言うと?」
「違和感がする。そこにいるのに、いないはずみたいな……。駄目じゃな。
 上手く表現できん」
「幽霊みたいだね」
「生身の体ぜよ」
「憑依とか」
「かもな」

困った感じに言うハル。
珍しい。
本気でまいってるな。
そのほうが数千倍ましだった、みたいな言い方だ。

「ミーハーじゃない。
 丸井あたりが不意打ちで笑ったりするとちっと赤くなる程度じゃ」
「丸井先輩って違うクラスじゃなかたっけ」

三年の時は同じだけど今のハルのクラスメイトは柳生先輩。
丸井先輩は桑原先輩と同じクラス。
しかも丸井先輩と精市先輩ともちがう。
なのに何故?

「いつの間にか俺らの中にとけ込んでる。マネになるのも時間の問題じゃのぉ」

ああ。
ハルの大切な人達の間にいきなり入ってきたその編入生がハルは好かないのか。
心地よい場所を崩されるようで。




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