04


柳生比呂士side

舞さんが屋上から去って行ったのを見届けてから仁王君は私の隣に座る。
彼が貰ったのは赤いゴム。
銀によくはえる。
きっと彼女もそう思っての事なのだろう。
髪を結ぶのを見ながら話しかける。

「彼女との勝負とは何だったのですか?」
「秘密じゃ」
「……まあいいです。しかし彼女、不思議な方だ。
 何故か引きつけられる」
「惚れるなよ」
「まさか。そういう意味ではなく、傍にいたいと思わされてしまうんですよね。
 幸村君ならその原因も理由も上手に表現できるでしょうけど」
「幸村はそういうのに昔から長けてるからのぉ。
 それよりやぎゅ、お前さん舞と何を話してた」

真っ直ぐに見る仁王君は嘘は許さないとその瞳で語っている。
私が仁王君に嘘なんて付きませんのに。
秘密は作りますけれどね。
しかし本当に面白い方だ。
仁王君がここまで執着するとは。
幼馴染み。
その言葉の意味は伊達ではないらしい。
私が聞いてもはぐらかされる存在。

「私にとって仁王君はどういう存在だと訪ねられましたよ」
「なんて答えたん?」
「おや、わざわざ言う必要はないと思っていましたが」
「そーじゃな。愚問だったぜよ。柳生は俺の特等席じゃからな」
「そして私も同じ質問をしました」
「……なんて?」
「身内だそうですよ。即答でしたね」
「そか」
「良かったですね」

うっすらと素直な笑顔と共に頷く仁王君。
彼のこんな笑顔も珍しい。
確かに私は彼の言う特等席、ペテンの技を特別な視点で見る事を許された立場です。
しかしきっと彼女も同じか、それ以上な存在なのでしょう。

「して仁王君。用事は何でしょうか?」
「お前さんを見込んでお願いがあるんじゃ」

彼が言った言葉に私は迷う事無く頷いた。




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