03


この柳生先輩。
事前知識はあるものの、一体どこまでなのか。
気になる。

「あの、柳生先輩にとってハルは仁王雅治はどういう存在ですか?」
「クラスメイトであり、ダブルスのパートナーであり親友です。
 少なくとも私はそう思ってます」

悩む事なく答えてくれた。
ハルは本当にいい友人を得たな。
話を聞いてただけだからそう聞けて良かった。
きっと彼やテニス部員はハルの大きな助けになる。

「逆に聞き返しますが舞さんにとって仁王君はどういう存在ですか?」
「身内です」

間を空けずに答える。

ハルは私の身内。
大切な存在。
それを私の世界での真理だ。
何者にも変える事はできない秩序。

「……そうですか」
「では私は教室に帰りますね。『仁王雅治』が人と戯れてはいけないでしょう?」

髪を結び伊達眼鏡をかける。

「詐欺師の幼馴染みも詐欺師なのですか?」
「違いま」
「いいもの見たなり」

言葉を遮って現れた怪しい笑みを浮かべた『柳生比呂士』が屋上の扉の前に立っていた。

「ハル」
「勝負は俺の勝ちじゃな」
「あー、もう、タイミングよすぎ」
「油断大敵ナリ。のぉ、やーぎゅ」
「私に同意を求められても困ります。それより遅刻ですよ」
「ブンちゃんに捕まってたんじゃ。文句はブンちゃんにいいんしゃい」

ニヤニヤ笑うハル。
その格好でこんな笑い方しないでほしいな。
ハルが真面目な話し方してるのは見れるけどその逆はちょっと。

「仕方無いからハルの好きにしていいけど時と場合くらいは考えてよ」
「どーしようかの」
「明日の晩ご飯が野菜オンリーになっても知らないから」
「それは嫌じゃ!」
「ハル」
「プリッ」
「……野菜生活って健康にいいと思わない?お母さんに言っとくよ」
「冗談ぜよ」
「よし。ああ、そう言えば、ハル最近髪のびてきたでしょ」

散髪に行ってないからだ。
ますます原作に近づいてくるな。
ハルにあるものを渡して踵を返す。

「じゃ、さようなら柳生先輩」
「さようなら」

さて、図書室にでも行きますか。



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